EU、グーグルのダブルクリック買収で調査延長--競争への影響を懸念

文:Dawn Kawamoto、Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年11月14日 10時34分

 欧州連合(EU)は現地時間11月13日、中断しているGoogleとDoubleClickの合併について、欧州の独占禁止規制当局がより広範囲な第2段階目の調査を実施することを発表した。

 調査の一環として、大手検索企業であるGoogleと大手オンライン広告企業であるDoubleClickの合併により、競争に影響が生じるかどうかがより詳細に調べられる予定である。規制当局は、このままで合併を承認するか、変更を条件に承認するか、合併を禁止するかのいずれかになる。EUにおいて独占禁止を監視する欧州委員会は、4月2日までに最終的な決定を下す予定である。

 Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は、合併に対する調査延長という決定に、同社は「もちろん落胆した」と述べた。

 Schmidt氏は声明で、「われわれは引き続き欧州委員会と協力して、われわれが提案する買収がパブリッシャー、広告主、消費者に利益をもたらすことを示していくつもりである」と述べた。「これ以上遅延することは、非常に競争の激しいオンライン広告市場においてすでに買収が承認されているMicrosoft、Yahoo、AOLなどと対等に競争していく上でわれわれに不利になりかねないため、それを避けるために努力する」(Schmidt氏)

 欧州委員会は、31億ドルというこの買収提案に対し、より詳細な調査を実施すると決定した主な要因として、合併によるオンライン広告市場における競争への影響、そしてひいては消費者への潜在的被害を懸念しているためであると述べた。

 欧州委員会の競争部門は声明で、「欧州委員会の第1段階の市場調査からは、提案された合併により、オンライン広告を仲介し提供する市場において競争上の問題が生じることがわかった」と述べた。

 同声明では、調査過程を延長するという決定は、「調査の最終結果を予断させるものではない」と付け加えている。

 過去10年間において、欧州委員会はわずか3%ほどの事例に対してのみ第2段階の調査を実施している。それらの事例の大多数において、最初の提案どおり、あるいは部門または子会社の売却など一部変更を加えて、予定通り合併が承認されている。

 2006年には356件もの合併提案が欧州委員会に提出され、承認または第2段階の調査実施のいずれかの決定を受けた。そのうち第2段階の調査へと送られたのは13件(3.7%)である。欧州委員会は、これらのうち6件は変更を条件に承認し、4件は変更なく承認した。残りの3件に対する決定は、2007年に繰り越された。

 2007年4月に31億ドルでのDoubleClick買収を発表したGoogleは、広告主やメディア企業らが自社の検索やディスプレイ広告キャンペーンを管理することのできる、中央集中型システムを提供することにより、同社のディスプレイ広告事業を促進したいと考えている。

 競合企業の1つであるMicrosoftは、この買収提案に対し、独占禁止に関する懸念を議会で証言している。2007年8月に60億ドルで広告企業aQuantiveの買収を締結させた同社は、13日の欧州委員会の決定に対してはコメントを避けた。

 米連邦取引委員会(FTC)の規制当局もこの買収について調査中だが、こちらの今後の予定に関してはあまり明らかにされていない。11月に入って委員であるJon Leibowitz氏は、当局は「この買収の複雑さを考慮すれば可能な限り迅速に作業しているといえる」と述べ、プライバシー問題よりも、買収による競争の問題の分析に焦点を当てていると述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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