裁判記録によると、提出命令は、当初、D'Angelo氏との取引に関してAmazonが保有する「実質的にすべての」記録を対象とするものだった。これには同氏から「中古書籍を購入した数千人の顧客を特定できる情報」が含まれる。しかし、のちに変更され、連邦捜査局と国税局による事情聴取のためとして、捜査対象の4年間につき各30名、総計120名の書籍購入者が対象とされた。
Amazonの訴訟担当バイスプレジデントであるDavid Zapolsky氏がWisconsin State Journalに語ったところによると、同社は当局による証拠漁りから顧客のプライバシーを守るべく努めているという。「当局から資料の提出を求められても、その目的が不明でありプライバシーすなわち憲法修正第1条に抵触する疑いがある場合、当社は当局の意図を確認し、それでも疑いを払拭できなければ、裁判所に申し立て、当局がその情報を必要とするか否かの判断を判事に委ねることにしている」(Zapolsky氏)
今回の提出命令は、法執行機関が行う情報収集と検索エンジンやEコマースサイトに記録されている米国人のプライバシーとの間にある緊張関係をGoogleの事例以上に露わにした。
実際、この提出命令がもしクレジットカード会社や銀行に対するものであったなら、おそらく、顧客記録は何の問題もなく提出され、このように注目を集めることもなかっただろう。しかし、米国の法体系の下では、書店や図書館は警察が個人情報を過度に求めることを禁ずる憲法修正第1条により保護されている。
同様の例は過去にもあり、重要なものとしては、2002年にコロラド州最高裁がデンバーの書店Tattered Cover Book Storeに対する捜索を許可しなかったケースがある。2年前には、麻薬取締局が大陪審捜査の一環としてBorders書店の販売記録を押収しようとしたが許可されなかった。最も有名なものは、おそらく、Kenneth Starr独立検察官がワシントンのよく知られた地元書店Kramerbooksに対してMonica Lewinsky氏の購入記録を提出するよう求め許可されなかった事例だろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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