カリフォルニア州サンノゼ発--検索キーワードなどの情報提出をめぐって米司法省とGoogleが争っている問題で、米国時間14日に当地の連邦地裁で聴聞会が開かれたが、これに出席した判事は、Googleの持つ膨大な検索関連データの一部を提出するよう求める司法省の要請を、少なくとも部分的に認めるとした。
米連邦地方裁のJames Ware判事は、自らに「早急に」判断を明らかにする意向があり、また司法省に対して、Googleがインデックス化しているウェブサイト情報の一部閲覧を認めるかもしれないとした。ただしユーザーが検索に使ったキーワードは対象から除かれるという。
Ware判事は、米司法省の要求すべてを認めることについては消極的だと述べ、その理由として、Google.comでキーワードを入力するとそれが「政府の調査の対象になる」とユーザーが考えかねない点を挙げた。
米司法省は1月18日、Ware判事に対し、Googleに召喚状への応諾を命令するよう求めた。この召喚状は、Googleの検索エンジンでアクセスできるインターネットアドレスのなかから「無作為に抽出」した100万件の情報と、1週間のあいだにGoogleに検索されたキーワードのなかから無作為に抽出された100万件の情報の提出を求めている。
交渉の過程で、司法省は要請するURLの数を5万件に減らすとともに、実際に目を通すのは1万件のみにするとした。また、検索キーワードについては数を5000件に減らし、調査するのは1000件だけにするとしていた。
Ware判事は、請求件数の削減と、プログラマーの人件費最大8日分に対して「Googleに何らかの補償を行う用意」があることを考慮すれば、司法省の要請を少なくとも一部認めることは妥当だと判断したという。
Googleの弁護士Al Gidariは約90分間にわたる聴聞会のなかで、司法省にはこれ以外にも調査方法があることを強調した。同省の調査は、フィルタリングソフトウェアの欠陥を証明し、ポルノ規制法裁判の弁護に利用することを目的としている。
「Alexaを利用することもできる。あそこには40億件のURLがある」(Gidari)
Gidariによると、Amazon.comが保有するウェブ分析サービスサイトのAlexa Internetは、同様の情報を提供することができ、「今後の訴訟にわれわれが巻き込まれることもない」という。
Ware判事は、この要望を認めると「多くの弁護士や好奇心の強い社会科学者が追随するかもしれない」ことを懸念している様子で、この点に繰り返し言及した。
「『この調査をお願いしたい』と言いながら、Googleのところに多数の大学教授が集まってくる可能性もある」(Ware判事)
この裁判の結果によって、司法省がGoogleの検索キーワードを社会科学的な研究プロジェクトに利用できるか否かが決まることになる。この研究プロジェクトは今秋、オンラインポルノ規制法を擁護するために利用されることになっている。Bush政権は、児童を守るためには、1998年以来法廷で保留状態にあるこの法律に基づいた刑事罰のほうが、ポルノを遮断するフィルタリングソフトよりも効果的な方法だと主張している。
司法省はYahooやMicrosoft、America Onlineに対しても同様の記録を提出するように要求したが、この召喚状について法廷で争うことを決意したのはGoogleだけだった。他の企業は、検索キーワードやログを提出したものの、個人のプライバシーに関係するような情報は提出していない点を強調している。
仮に司法省側が勝利を収めるとすると、Googleは追加情報を求めるAmerican Civil Liberties Union(ACLU)からの召喚状に直面する可能性が高い。ACLUは1998年の「児童オンライン保護法(Child Online Protection Act:COPA)」に異議を唱えている。同法では、一部の陪審員が未成年者にとって「有害」と判断する可能性のある情報を営利目的のウェブサイトが掲載すると犯罪となる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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