米司法省は、Googleに数百万件の検索記録を強制的に開示させようとしているが、それにより逆に警察や検察官らがしっぺ返しを食らう可能性が出てきた。
インターネットユーザーの検索語はプライバシー関連の法律によって保護されており、従って司法省の召喚状の開示要求を拒否できることをGoogleがカリフォルニア州の裁判所に認めさせることに成功すれば、将来の犯罪捜査において警察がそのような記録の開示を要求するのはより一層困難になるだろうと、複数の法律の専門家が指摘している。
これは「間違いなく」憂慮すべき事態だと語るのは、元司法省の検察官で、現在はコロラド大学ボールダー校で教鞭を取るPaul Ohmだ。「過去にも、今回と同じようなケースが多々あった」
Googleは米国時間2月17日、司法省の召喚状に対する回答書をカリフォルニア州サンノゼの裁判所に提出した。同社はその中で、1986年に制定された電気通信プライバシー法(Electronic Communications Privacy Act:ECPA)の規定に従えば、召喚状に基づいて検索語の「内容を公開することはできない」と主張している。召喚状とは、判事の事前の承認または審査なしに検察官から送付される書簡を指す。
ECPAには「電気通信サービス事業者」のための強力な法的保護手段が規定されている。同法には電気通信サービス事業者と認められる条件として、ニュース速報が送信可能であることなどの特徴が挙げられているが、同社もその条件を満たしていることから電気通信サービス事業者に当たり、したがって、ユーザーが入力した検索語は法的保護の対象となる、とGoogleは主張している。
「米政府は今こそ検索語がECPAの保護対象となるのか否かを明確に示すべきだ」と語るのは、Perkins Coie法律事務所の所属弁護士で、Googleが17日に裁判所に提出した摘要書の共同執筆者でもあるAl Gidariだ。「われわれの考えでは、政府の要求が匿名の検索クエリの開示であっても何ら変わりはない。(政府の主張が通れば)われわれが顧客の名前を削除さえしたら、政府は電子メールを検索してもよいことになる」
司法省は1月、Bush政権によるインターネットポルノ規制法の弁護活動を支援するため、1週間分の匿名の検索語のコピーとインデックスから抽出した100万のウェブページのランダムサンプルの提出をGoogleに命じるよう連邦判事に要請した。James Ware米地裁判事は、この件についての審問を3月13日に実施することに決めた。
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