2007年12月1日の発売に向け、いよいよ製品の予約がスタートした世界初の有機ELテレビ、ソニー 「XEL-1」。誰もが目を惹く薄いパネルの厚みはなんと3mmしかない。その姿は既報の通りだが、超スリムボディに驚いた人も多かっただろう。
XEL-1の素晴らしさは薄さだけにとどまらない。自発光の有機ELという方式が持つ色再現性の高さや、ずば抜けたコントラスト表現力にこそ、次世代の薄型テレビの本命と言われる理由がある。
しかし新技術を満載した“未来のテレビ”とは言え、11型で20万円という価格には驚かされるの事実だ。そこで世界初の有機ELテレビの開発に携わった方に、その魅力とコンセプト、そして低価格モデルを含めた将来性を伺った。
白石 有機ELというデバイスは、自発光で美しく、色の再現性も優れています。その特性に注目して、ソニーでは2004年9月に有機ELを搭載したPDAの「クリエ PEG-VZ90」を発売しました。
しかしこれだけ美しいデバイスですから、いつかは有機ELを使ってテレビを作りたいという思いがあり、開発を続けていたんです。ただ、最近の薄型テレビの技術開発は目覚ましく、日々高画質になっています。
それだけに、テレビを開発するということは、最も難しい市場へ挑戦するということでもありました。
酒井 今の生活って人間がテレビを中心に動かされているんですね。その生活スタイルが有機ELという超薄型のデバイスを使うことによって変えられるんじゃないかと……。そういう意味でもデバイスと技術がちょうどいいタイミングで揃ったと思います。
白石 有機ELを搭載したというだけでは、お客様に満足していただけるとは思えません。いかに優れたテレビを作るか、という部分に力を注ぎました。
有機ELという新しい素材を使ったテレビ開発なので、パネル担当部署とテレビ本体を作る部署が協力して製品化しました。
素材は出光と共同開発ですが、どの配合で使うかはソニーが選ぶことになります。まさに素材からパネル、映像回路まで、すべての生産を社内で行えたのはテレビを作り続けてきたソニーの強みでした。
大型化や動画表示が困難とされていた有機ELパネルを用いて作られた、世界初の有機ELテレビ。超薄型、固体デバイスという有機ELのメリットをそのままに、独自の映像技術「スーパートップエミッション」によって、動画再生能力を向上。画面サイズもパーソナルモニタとして使用可能な11型にまで引き上げた。薄さ約3mm、コントラスト比100万:1という有無を言わさぬ未来型スペックだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス