10月17日から18日にかけて、Second Lifeを始めとしたバーチャルワールドのビジネスにおける活用法や企業参入を取り巻く環境などに焦点を当てたイベント、「バーチャルワールドサミット」が開催された。
18日午後のキーノートでは、ベンチャーの育成、発掘、支援および投資事業を展開しているngi group 代表執行役社長CEOの小池聡氏が登壇した。
同社の重点投資領域である3Dインターネット分野に特化した戦略子会社3Diは、バーチャルワールドを始めとした3Dインターネット分野のテクノロジーソリューション企業と位置づけられている。「3Diは、グローバルを強く意識しており、従業員も中国・アメリカ・カナダ・日本など多国籍となっています」と小池氏は語る。
3Diは2007年10月10日に、オープンソースを利用した独自開発のバーチャルワールドのプラットフォームである「Jin-sei」をリリースしている。また、Second Lifeをブラウザ経由で接続できる「Movable Life」のアルファサービスも公開した。Movable Lifeは、PCのみならず携帯電話での展開も視野に入れており、アメリカでは「iPhone」によるサービスも開始されている。
「経済誌でも“バーチャルワールド”の話題が増えていますが、課題も多く“ビジネスにならないのではないか”という論調もあります。ここで、1993年を振り返るとインターネットもビジネスにならないといわれてきました。でも今はどうでしょう。ビジネスに欠かせない社会インフラとして定着しています。10年後の“バーチャルワールド”がどうなるかは、これからみなさまとどう発展させるかにかかってくると思います」(小池氏)。
バーチャルワールドに限らず、「ビジネスにならない」という台詞はさまざまな分野で耳にする。今や確固たる地位を築いたSNSですら、同様のことがいわれてきた。「mixiは、時価総額2000億円を超えています。投資が5600倍になり、大きな収益をもたらしました。実際にビジネスになっています」(小池氏)とのことだ。インターネットやSNSと同様に3Dインターネットに関しても、ビジネスになりうるというのが同氏の主張だ。
またngi groupでは「標準化」の流れにも着目している。小池氏は、「以前はクローズドなパソコン通信でしたが、インターネットというオープンな環境になっています。バーチャルワールドに関しても、それぞれ個々のメタバースではなく、それぞれがシームレスにつながりマルチバースになっていく」と考える。つまり、閉じたメタバースからそれぞれが同一のプラットフォームで接続され、標準化されていくというのだ。Jin-seiには、マルチバースへの動きを加速させ、それぞれのメタバースの架け橋になる、という使命もある。
さらにngi groupは、新しいプラットフォームとして「HiPiHi」にも注目している。HiPiHiは、「中国のSecond Life」と称される新しいバーチャルワールドで、2008年には日本国内で独自サービスを展開する予定だ。HiPiHi CEOの許暉氏は「プラットフォームだけではなく、優良なコンテンツや優秀やエンジニアが必要となります。数千年の歴史があるアジアは、この点において優位だと考えています。歴史は非常に素晴らしいコンテンツを与えてくれますから」と語る。「HiPiHiに多くの日本の方が参加していただいて、日中友好になればと期待しています」(許氏)。
バーチャルワールドは、まだ発展途上にある。「この世界をユーザーと企業が一体となり盛り上げていくことが重要」というのが、小池氏の主張である。
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