典型的な例を紹介しよう。Warner Bros.によれば、これまでのところ最も売れ行きの良い次世代DVD作品は、発売後の最初の1週間に25万本の高解像度版が売れた「300」である(今のところ最も成功した次世代DVD作品が、決着のつかない戦いを繰り広げる戦士たちの映画だとはなんとも皮肉な話である)。
2007年10月初旬に開催された業界のカンファレンスで、Microsoft(HD DVD)、ソニーとパイオニア(Blu-ray)の代表がそれぞれ、対立する相手の「300」の売り上げ本数を批判した。たとえばBlu-ray陣営は、「300」の最初の週の売り上げ本数がHD DVDを2対1で上回ったと主張した。Warner Bros.の代表によると、実際の内訳はBlu-rayが65%、HD DVDが35%であった。
しかしスタンダードなDVDでの売り上げが500万本超であったことを考えると、両陣営のつばぜりあいが売り上げの5%未満をめぐる戦いでしかないことがしだいに見えてくる。ハードウェアについては、DisplaySearchによると、2007年9月のDVDプレーヤー売上高に占める割合はHD DVDとBlu-rayを合わせて5%であった。
今は両陣営とも、技術面に消費者の関心を向けさせようと懸命である。しかしほとんどの消費者は現在、必ずしもそれらの技術のメリットを享受できない。それは、HD DVDフォーマットの映画であれBlu-rayフォーマットの映画であれ、最大の効果を引き出すにはフルハイビジョン(1080p)テレビが必要だからである。
「ハイビジョンテレビ(HDTV)を持っていないなら、売り込み方法は違ってくる」と語るのは、DisplaySearchでDVDとHDの市場調査担当ディレクターを務めるPaul Erickson氏である。「(次世代プレーヤーの)魅力の大部分は、1080pを持っていなければ話にならない。1080pは未来のスタンダードかもしれないが、今でも通常のハイビジョン(720p)がよく売れている」という。
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