千葉発--地球温暖化対策、そして交通事故対策に効果的な次世代ツールはカーナビゲーションシステムであるというのが大手自動車メーカー日産自動車の考えだ。
日産は、(本質的に車載コンピュータともいえる)カーナビと最新の通信インフラをより有効に活用し、同社製自動車の安全性と燃費効率の向上を図るための大規模な取り組みを開始した。同社幹部が10月2日から幕張メッセで開催されている最新技術の展示会「CEATEC JAPAN 2007」で明らかにした。
今回の日産の発表は、同社が環境にやさしい自動車メーカーであることをアピールするための広報活動の一環とも取れる。しかし日産は、これらの機能が市場における同社製品の差別化に寄与すると考えている。今後、他の自動車メーカーもこれらの機能の一部を自社製品に搭載し始める可能性は高いが、早期に導入しても損にはならない。日産の目標は、2030年までに同社自動車の事故件数をほぼゼロにまで減らすことと、2050年までに二酸化炭素排出量を7割削減することだ。
日産は現在、中国の北京市内を走行するタクシーを使ったシステムの実験を行っている。これは、走行中の他の車に搭載されたセンサーを使って収集した現在の交通データをタクシードライバーに提供し、交通渋滞の回避に役立てるというものだ。
日産によると、初期実験では、このシステムは1日当たりおよそ1kgの二酸化炭素排出量の削減に成功したという。交通渋滞を回避し、一定速度での走行が可能になったため、燃費効率が向上したのだ。
日産で副社長を務める山下光彦氏は、CEATECで行ったプレゼンテーションで、社会インフラの中で人々が今後どのように自動車を利用するかが将来の重要な鍵を握ると指摘した。また同氏は、渋滞を緩和することにより、二酸化炭素汚染の改善も可能だと付け加えた。
しかし、初期テストでは、このシステムを利用しているタクシーは、ほぼ同じ2地点間で運行する通常のタクシーに比べ、走行時間が2割少なかった。
日産で常務執行役員および技術開発本部長を務める篠原稔氏はインタビューで、(このシステムを使えば)目的地により早く到達できると語った。
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