カギは「国際競争力の強化」と「放送と通信の融合」--総務省がみたICT政策

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 千葉県の幕張メッセで開催中のITとエレクトロニクスの見本市「CEATEC 2007」において10月4日、総務省大臣官房技術総括審議官の松本正夫氏が「情報通信技術政策の課題と展望」と題した基調講演を行った。

 松本氏は「昨今、日本の産業は力がなくなったと言われている。とは言いながらも、情報通信産業が日本の産業にとって大変重要な存在であることは確か。それに政府としてどう手助けができるか」と述べ、情報通信分野における課題と総務省の取り組みを紹介した。

総務省大臣官房技術総括審議官の松本正夫氏 総務省大臣官房技術総括審議官の松本正夫氏

 国内のGDPに対する、日本の情報通信産業の全体への寄与度は40%にのぼる。松本氏は「この分野が今後どうなるかが日本の将来の発展に大きな影響を及ぼす。ここに力を入れるのは当然のことだ」と述べ、情報通信が政府の重点政策であることを改めて強調した。さらに「ICTを積極的に活用することによって、企業が効率的な経済活動を推進できる。社会に活用してもらうという観点でも、取り込む必要がある」とし、「情報通信がほかの分野への発展をももたらす」と期待する。

 総務省が積極的に推進する課題はまず、「国際競争力」だという。松本氏は「日本のメーカーは、残念ながら主要メーカーの売上高を全部足しても、外国のある1メーカーに及ばない状況。また、日本の企業が開発した技術が外国に導入される例も少ない」とし、日本の情報通信産業が競争力において世界的にはまだ不十分であることを指摘する。

 さらにその理由として、外国に目を向けた事業戦略が不十分であることや、国際的なビジネスを展開する上での語学力が不足している点を挙げた。

 また、個々の技術開発が得意だが、トータルなシステムをつくるのが不得意である日本の産業の特徴を述べ、「中国、韓国など、新しい国々が力をつけてきている。今後、彼らの技術力が日本にとっての新たな競争相手になってくることは確か」とし、より厳しくなる国際市場環境に備えた。総務省では「国際競争力強化プログラム」をはじめとする、政府の政策を紹介。2011年をめどに、研究開発と技術の標準化、知的財産問題を中心に、国際競争力強化のための政策を集中的に推進していく方針であると語った。

 情報通信政策が掲げるもうひとつの大きな課題として「放送と通信の融合」が挙げられる。松本氏は「放送と通信は今までそれぞれが別々に構築されてきた。しかし今や、光ネットワークによりそれぞれのサービスが独立しないかたちで提供される時代になった」とした上で、「現状の法制度は『放送』『通信』の縦割りでできている。それに新たにネットワークとコンテンツが加わって、縦横が複雑に混在されるようになってきた」と語り、「情報通信法」として2010年までに、新しいネットワークとコンテンツ、プラットフォームに合わせた新法を創設するための検討が進められていることが明かされた。

 そのほか、情報通信が今後社会に果たすべき役割として「安心で安全な社会の実現」を挙げた。政府では災害時の携帯電話を使った情報伝達システムをはじめ、消防や警察、自治体、電気・ガスなど、災害時に関係する公共機関を次世代ネットワーク(NGN)に置き換えることで効率化することを目標としており、それぞれに進められている研究や開発の状況を報告した。

 また、「今のネットワークは電力消費も多い。情報通信だけで解決できるわけではないが、今後取り組むべき大きな課題だ」とも松本氏は語る。現在、地球温暖化対策として、省内に研究会を設置してCO2削減に有効な技術の開発開発を進めており、2008年7月に予定されている、北海道洞爺湖サミットに向けた課題を議論中であると語った。

 最後に松本氏は「情報通信分野は幅が広い。今まではそれぞれをあまり考えないで進めてきた。しかし、これからは具体的な社会的、経済的な説明責任を持って、進めていかなければならない」と述べ、技術的役割から社会的な役割を担うものへと発展した情報通信分野に対して、総務省がイニシアチブを取り、積極的に推進していく方針を語った。

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