必要最低限の機能を備えた生産性アプリケーションは、Officeをたまにしか使用しない従業員のために同スイートのフルライセンスを払うのはもったいないと考える小規模企業など、一部の法人のコンピューティング環境にはアピールするかもしれない、というアナリストの声も聞かれる。
IBM、Sun Microsystems、Novellの3社がMicrosoftの製品に代わるOpenOfficeベースのアプリケーションを提供しようと試みる一方で、ウェブ企業のGoogleと、今ではYahooも、ウェブ2.0スタイルの機能を武器にMicrosoft最大のビジネスを攻撃しようとしている。
Yahooが買収したZimbraは、電子メールとコラボレーションのソフトウェアで、注目すべき点は、フル装備のデスクトップアプリケーションに似ていながら、ブラウザ内でクライアントを実行できることだ。これを実現するため、Zimbraはウェブプログラミング技術「Ajax」を大いに利用して、アプリケーションの双方向性を高め、「マッシュアップ」などの機能をサポートしている。マッシュアップとは、さまざまなソースのコンテンツを結合していながら、使用する際にはシームレスに見える、ウェブサイトやアプリケーションを意味する。
Zimbraは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を通じて800万人の顧客と契約してきた。Zimbraはまた、法人向けメールサーバも開発したが、これはMicrosoftのExchangeが地歩を固めた分野だ。とはいえ、Yahooが法人向けメールサーバ市場への挑戦を引き継ぐかどうかははっきりしない、とアナリストのO'Grady氏は述べた。
他の新興企業数社は、ウェブベースでAjaxやAdobeの「Flash」を利用したOfficeの代替品を開発しており、これらはたいてい無料だ。
一方でGoogleは、Google Presentationsなどの新製品や、2006年に買収したウェブコラボレーション企業JotSpotなどの買収を通じて、「Google Apps」スイートの拡充を続けている。
ウェブ検索最大手のGoogleは、大企業にも目を向けている。同社はコンサルティング企業のCapgeminiと提携し、「Google Apps Premium Edition」向けのサポートとインストールサービスの提供を開始した。サービスの料金は1ユーザー当たり年間50ドルだ。
Capgeminiの幹部によると、Google Apps Premium EditionはOfficeのような高度な機能は備えていないものの、大企業に導入した場合でも、インターネットを介したビジネスパートナーとの共同作業など、一定の役割を果たせるという。
NPD Groupのソフトウェアアナリスト、Chris Swenson氏は、「Office 2007」の最近の販売データはMicrosoftにとって良好のようだと述べた。小売チャンネルでは、2007年に入ってから今までの商業市場におけるOfficeの売り上げは、金額ベースで96〜98%のシェアを獲得している。
この圧倒的な市場シェアと巨額の売り上げこそが、IBMがLotus SymphonyとウェブベースのOfficeの代替品をリリースする理由だ、とGartnerのSilver氏は話す。Silver氏は、Gartnerの法人顧客の間でも、この1年でOfficeの代替品に対する「相応の関心」を示す顧客が増えてきた、と付け加えた。
「(Microsoftが)巨額の利益を上げているので、(デスクトップソフトウェア市場は)無視するのが難しい市場だ。だが、参入するのも難しい市場だ」と、Silver氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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