国際的コンサルティング会社Capgeminiは、「Microsoft Office」に代わるGoogleのオンラインサービス「Google Apps」が訴求力を持つのは大学生や中小企業にとどまらないと考えている。
Capgemini(本社フランス)は現地時間9月10日、Googleとの提携を発表した。この提携に基づき、Capgeminiは企業向けの有料サービス「Google Apps Premier Edition」を利用する大企業を対象に、デスクトップサポートとインストールサービスを提供していく。
Capgeminiの幹部によると、Google Appsには、ウェブベースの電子メールサービス「Gmail」、共有カレンダープログラム「Google Calendar」のほか、オンラインのワードプロセッサおよび表計算アプリケーションである「Google Docs & Spreadsheets」が含まれており、現時点では個人や小規模企業が主に使用しているが、大企業においても役に立つという。
Capgeminiでサービス指向アーキテクチャ(SOA)部門の責任者を務めるSteve Jones氏によれば、こういったウェブベースのアプリケーションは、工場の生産ラインや小売店の従業員など、個人用のパソコンを持っていないことが多い従業員にとって意味があるという。そういった職場では、パソコンやMicrosoft Officeを購入するのにかかるコストを計上しにくいからだ。
さらに、ビジネスパートナーとインターネットを介して協力関係にある企業にも役立つという。
Capgeminiはサポートを担当し、企業の業務プロセスに合わせてGoogle Appsのカスタマイズも行う。
今回の提携はGoogleにとって、新技術の導入に対して保守的な大企業にGoogle Appsを普及させる助けとなる。
調査会社Burton Groupが8月に発行したレポートによると、1ユーザーあたり年間50ドルという比較的低料金であっても、Google Apps Premier Editionを採用する企業はリスクを抱えることになるという。
多くの企業は、元来は消費者を対象とした企業であるGoogleがWeb経由で提供する生産性アプリケーションを利用するのに慣れていない。また同レポートは、アプリケーション自体にも、従業員の職務に基づいて文書へのアクセスをコントロールする機能など、Microsoft Officeにある機能が備わっていないと指摘している。
Burton GroupのアナリストGuy Creese氏は、「ユーザー1人あたり年間50ドルという価格は魅力的だが、企業はその金額に見合うだけのメリットを得ていない」と述べ、さらに次のように書いている。
「Googleの進出によって、コミュニケーションやコラボレーション、コンテンツ管理にサービスとしてのソフトウェア(SaaS)を利用するという機運は高まったものの、自ら推進しているこのトレンドからGoogleが利益を上げられるかどうかは、現時点では不透明だ」
CapgeminiのJones氏は、同社がGoogle Appsのサポート提供を決めた理由の1つとして、従業員が企業の技術部門の承認なしに同アプリケーションを利用していることが多いという点を挙げている。これは、重要な社内文書を管理する上で問題を引き起こしかねない。
同氏は次のように述べている。「もし企業が先を見越してこれを管理しなければ、コントロールできなくなる。そうした事態は遅かれ早かれ起こるだろう。重要なのは、問題を未然に防ぐかどうかだ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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