しかしBusiness Weekの記事は、Appleはサービスモデルに向かうかもしれないと指摘している。同記事は、Appleが自前のネットワークを持てばユーザーはコンテンツを最初にPCにダウンロードする代わりに、「クラウドコンピューティング(ネットワーク上で提供されるアプリケーション)」からコンテンツにアクセスできるようになると指摘している。そうすれば、音楽、映画、電子メールをはじめとするあらゆる種類のコンテンツをiPodなどの機器に保存する代わりにネットワークに保存し、そこからストリーミングできるようになる。
このシナリオでは、Appleは最終的に端末機器の販売ではなくアプリケーションの販売によって収益を上げることになる。Business Weekの記事はさらに続けて、Appleはコストを広告でまかなって基本的な無線アクセスサービスを無償提供することさえ検討する可能性があると述べている。そうすればAppleはネットワークで販売するコンテンツに課金することができる。
これが実現すれば安価に無線ネットワークにアクセスでき、場合によってはより簡単にアプリケーションにアクセスできるようになるコンシューマーにとっては大歓迎だが、Business Weekの記事は、無線ネットワークの構築には金がかからないということを前提にしているようだ。確かに、無線ネットワークの構築は地中に新規の光ファイバを埋設するのに比べたら費用は少なくて済む。これはVerizon Communicationsが次世代ブロードバンドネットワークを構築する際に取った戦略だ。しかし、光ファイバを埋設するにしても、港湾無線局を設置するにしても、ネットワークの構築と運用に関連する実際の資本と運用コストは発生する。
戦略を維持するビジネスモデルを見つけられなかったために市営Wi-Fiサービス事業を縮小せざるを得なかったEarthlinkに聞いてみるといい。実際にはネットワークの構築費用がEarthlinkの当初の予測よりも高価だったのである。
Steve Jobs氏が700MHz帯のオークションへの入札を検討したということについては、筆者はほとんど疑いを持っていない。Googleのような企業が大々的にオークション入札を表明しているのに、Jobs氏だけが黙って指をくわえて見ていられるだろうか。しかし、このようなプロジェクトに実際に金と資源を投入するかどうかについては、現時点では可能性が低いように思われる。
Appleにとっては、入札を予定している企業と提携するという余地もあるかもしれない。たとえば、Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏がAppleの取締役であることを考えると、AppleがGoogleと提携することも考えられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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