Appleが米国時間9月5日に、「iPhone」の価格の大幅値下げを発表した。この発表に多くのAppleファンが元気づき、混乱し、また動揺した。
Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏は5日、サンフランシスコにあるモスコーニセンターで、8GバイトのiPhoneを399ドルに値下げすると発表した。発売時の価格から200ドル下がることになる。Appleが同社初の携帯電話iPhoneを発売したのは、わずか10週間前の出来事だ。モスコーニセンターでのiPhoneの価格を33%値下げするという発表は、新「iPod touch」の紹介と英国の歌手KT Tunstall氏のステージの間に行われた。つまり、iPodの全タイプで新型を発表した後、さりげなく話す形だった。
Jobs氏は、2007年のホリデーシーズンにリリースが予定されているiPodの広範なラインアップを示しながら、「われわれは、これまで以上にアグレッシブにいきたいと考えた」と話した。たしかに、iPhoneの価格改定はアグレッシブだし、これまで手を出せないでいたけれど、この値段なら買ってみようと決心する人も出てくるかもしれない。しかし、疑問に思わずにいられないのは、おそらく歴史上最も大規模な宣伝とともに登場した携帯機器の価格を、発売後これほど短時日の間にこれほど大きく引き下げるとなると、AppleにはよほどiPhoneの需要を刺激する必要があったのだろうか、ということだ。
公平に見て、iPhoneの需要は比較的堅調なようだ。Jobs氏は同日、9月末の今会計四半期の終わりまでに、iPhoneを100万台売り上げるという公約を繰り返した。またJobs氏は、複数の顧客満足度調査でiPhoneが、これまでのいかなるApple製品よりも高い評価を得ているという点を強調した。さらに市場調査会社のiSuppliによると、iPhoneは7月に、米国におけるスマートフォン販売台数で首位だったという。iPhoneの月間販売台数としては、これが初めての数字となる。
しかしiSuppliの推計では、7月のiPhoneの月間販売台数は22万台にとどまっている。Appleは、6月の発売後30時間で27万台のiPhoneが売れたと報告していた。
もちろん、iPhoneほど発売前に多くの期待を寄せられた製品の場合、売り上げが落ち込む時期が来るのは当然だが、初めてiPhoneが店頭に並ぶようになってからこれほどの短期間に急激に値下げしたことに驚きを隠さないアナリストもいる。
なぜ価格引下げに踏み切ったのかコメントを求めても、現時点ではAppleから返答は得られなかったが、Jobs氏は価格引下げの話にホリデーシーズンを絡めていた。
「このホリデーシーズンにむけてiPhoneを多くの人にとって求めやすい価格にしたい。(中略)ホリデーシーズンには、贈り物として多くのiPhoneが選ばれてほしいと考えている」とJobs氏は語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」