Endpoint Technologies Associatesのプレジデント、Roger Kay氏は、Appleの第一の目標が、ホリデーシーズンの買い物による財布への負担を少し軽くすることにあるとは考えがたいと言う。
「これは非常に興味深い動向だ。最初に頭に浮かんだのは、販売数が思ったように推移していないのだはないかということだ」とKay氏は語った。
iPhoneとその売り上げをめぐって混乱させられる原因の1つは、その数字がどのように計算されたかにあるといえる。AppleはAT&Tの店舗に出荷したiPhoneを、たとえそれが消費者の手に渡っていなくとも、売り上げとして計上できる。一連の流れのどの時点で検数するかによって推計値は変わる。今夏初めAT&Tは、アクティベートされたiPhoneの数が、Appleの販売数よりもはるかに少ない台数だったことを明らかにしたが、このギャップが生まれた理由の1つは、四半期締め切りの6月30日夜の時点で多数のiPhoneが輸送中の状態だった可能性があるとしている。
iSuppliは米国の消費者200万人に調査を行い、iPhoneを購入したかどうかのデータを集めた。同社は実際のところ、Appleは2007年に450万台のiPhoneを販売するものと考えており、この数値は他の推計よりもはるかに多い。
投資銀行Piper JaffrayのアナリストGene Munster氏は、iPhoneの価格引下げが公表される前日の4日に発表した調査報告書で、Appleは今四半期に80万台のiPhoneを販売するだろうと予測した。この予測値は、Piper Jaffrayが全米のAppleストアでの売り上げデータを集計した結果と、AT&Tの店舗でのiPhone売り上げを追った同社のワイヤレス担当部門のデータを付き合わせてはじき出したものだ。
価格引下げが発表された後、Munster氏は、599ドルのiPhoneは買えないけれども、買える価格になれば飛びつくであろう大半の消費者に対して、Appleは需要を加速させたい狙いがあるのだろうと語った。
「価格引下げ前、iPhoneが主流になるのは(2009年9月締めのAppleの2009会計年度)終わりごろとわれわれは予測していたが、こうなるとより早い時期に急速な浸透が見込まれる。要するに、Appleは電話市場で確固とした地位を築くため、iPhoneで得た利益を今後の数四半期に渡って投資していこうとしている」と、Appleの発表後にMunster氏は記している。
価格引下げはAppleの全体的な利益に影響するだろう。Piper Jaffrayは現在、Appleの粗利益率は最悪の場合で27%程度まで落ちるものと予測している。これは現会計年度に対して予測していたよりも4%低い。Appleの発表を受けた5日、投資家たちが株から手をひいたのはこれを心配した可能性がある。太平洋夏時間9月5日午前10時ごろから、典型的な「ニュースが出つくしたら売れ」傾向の中でAppleの株価は下落し始めたが、AppleによるiPhone価格引下げのニュースが流れ出すと株価は急激に下降し、その日の取引を5%の下落で終了した。それでも株価は1週間前の8月29日の株価よりも高値になっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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