Appleは、同社の製品の中で最も人気の高い「iPod」のマイナーチェンジを2年以上にわたって繰り返したのち、どうやら新モデルの準備を整えたようだ。
来るべきiPodの発表について数週間にわたり流れていたうわさは、米国時間8月28日午後に、正しいことがほぼ確実になった。この日Appleがメディアに、サンフランシスコで9月5日に開催予定のイベントの招待状を送ったからだ。例によってAppleは、何を発表するかについて明言を避けているが、踊るiPodユーザーのシルエットを見ると、想像の余地はあまりない。
招待状に書かれているように、AppleのiPod部門にとって「ビートは続く」(the beat goes on)。iPodが発売されてから約6年経過したが、Appleは依然として携帯音楽プレーヤー市場を支配している。NPD Groupの調査によると、2007年上半期の同市場で、iPodは72.4%のシェアを占めたという。SanDiskの最高経営責任者(CEO)Eli Harari氏などのライバルでさえ、音楽プレーヤー市場でのAppleの独走には脱帽している。過去2年の間、AppleはiPodのデザインをほとんど変更していないにもかかわらず、売れ行きが減速する兆しはまったく見られない。
Harari氏は最近、CNET News.comによるインタビューの中で、「実に素晴らしい。賞賛に値する場合は賞賛しなければ」と語っている。
SanDiskは最近、「iPod shuffle」と競合することを期待して「Sansa Clip」を発表してはいるが、現在のところ、iPodを追い落とす製品の開発よりも携帯電話用フラッシュメモリ市場の開拓のほうに注力している。
AppleのCEOを務めるSteve Jobs氏は、2005年9月のメディア向けイベントで、薄型の「iPod nano」を披露して、同日発表したMotorolaの音楽再生機能付き「iTunes」対応携帯電話「ROKR」の影を薄くした。2006年9月には、Appleはnanoと第5世代iPodをマイナーチェンジし、モニター輝度向上と機能追加を行なったが、両モデルの基本デザインは変更せず、より小型のiPod shuffleを発表した。
こうした改変が販売台数に影響を及ぼさなかったことは明らかだ。Appleは、会計年度2007年第1四半期(12月30日締め)には、ホリデーシーズン商戦の時期に重なることもあって、2100万台のiPodを販売している。今回、Appleの観測筋は、同社がもっと大胆な改変を施して、iPodでのビデオ体験の質を向上させるとともに、iPod nanoにビデオ再生機能を加えるのではないかと予想している。
iPodで音楽を聴くことは、今やごくありふれた行為だ。長年、携帯型ビデオプレーヤーには見向きもしていなかったが、Jobs氏もついに考えを変え、iPod nanoの発売から1カ月後、Appleはビデオプレーヤー機能が付いたiPodを発売するとともに、「iTunes Sotre」でテレビ番組を購入できるようにした。また、2006年には、iTunes Sotreで取り扱う商品を拡大して映画も購入できるようにしたものの、ビデオのダウンロード市場はいまだに確立していない。
NPD Groupは2007年初め、米国にいる14歳以上のユーザー1万1000人を対象に調査を行ったが、その結果、テレビ番組や映画を過去半年間にオンラインで購入した人は、回答者のわずか6.6%しかしないことがわかった。ビデオを見るのに「Apple TV」経由でテレビやコンピュータを利用するのではなく、iPodを使う人がどの程度いるのかははっきりしないが、携帯端末でのビデオ視聴は今でも非常にニッチな市場だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス