Intelの法務部門は、この先10週間ほどかなり忙しくなるだろう。
欧州委員会競争総局が、Intelの商慣習が「市場における圧倒的なシェアを乱用」しているとして現地時間7月26日、「異議通知書(Statement of Objections)」を送付した。これを受け、Intelは10週間以内に対応する必要がある。
欧州委員会は、AMDの要請を受けてIntelのビジネス手法と欧州のPC市場について調査してきた。その結果、好ましくない行為の例を3つ挙げている。1つ目に挙げられたのは、IntelがPCベンダーに対し、AMDではなくIntel製のチップを採用するよう促し、その見返りに「高額のリベート」を支払っていたという点。2つ目には、Intelが、AMD製品を搭載したPCの欧州での発売を延期もしくは中止させる目的で金銭を支払っていたとされる点が挙げられている。また3つめには、IntelがAMDのビジネスを妨害する目的でサーバプロセッサをコストより安い価格で販売したことが挙がった。
欧州委員会は27日のプレスリリースで、「これら3つの行為は、Intelにとって最大のライバルであるAMDを市場から排除することを目的にしている。これらはすべて、自社の圧倒的シェアを乱用していると考えられる。欧州委員会では、調査の現段階ではこれら3つの行為が相互に補完し合い、1つの反競争的戦略を構成していると考えている」と述べている。
Intelの法律顧問兼シニアバイスプレジデントBruce Sewell氏によると、Intelは、これらの行為がなかったか、Intelの商慣習について欧州委員会が誤解しているか、のいずれかを証明しなくてはならないという。Intelは顧客へリベートを支払っているものの、キャッシュバックプログラムは公正競争のいかなる法律にも抵触していないと主張する。Intelは、今回の調査においてコストが正しく計算されていない可能性もあるとも考えている。
Intelは今後、委員会が納得するような説明を用意しなければならない。またAMDは、Intelが欧州で不利な立場に立たされていることを、デラウェア州で係争中の独占禁止法訴訟で利用できるかどうかも興味深い。
欧州での判断をAMDが米国の裁判所に提出できるかどうかは明確ではない。だが、欧州委員会がIntelに不利な判断を下せば、AMDはおそらくこれを利用することに全力を注ぐことになるだろう。Intelは既に日本で排除勧告が出されており、欧州でも同様の結果が出れば、米国におけるIntelの商慣習に対する米国の裁判所や司法省の詳細な調査を回避するのは難しくなるだろう。
Intelは、正式な回答を10週間以内に書面で提出する必要がある、それを受けて欧州委員会は異議を取り下げるか、より詳細な情報を求めるか、もしくはIntelに不利な判断を下して罰金を科し、制裁を加えるかのいずれかを決定する。引き続き注目したい。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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