ここ数カ月、ハイテク業界で最もよく読まれているブログがある。爆笑まちがいなし、手加減しない皮肉が利いた「スティーブ・ジョブズの秘密の日記(Secret Diary of Steve Jobs)」だ。
本人になりすましてこのブログを書いている人物はFake Steve Jobs(FSJ)(偽Steve Jobs)を名乗り、終始「マーケティングの天才」Steve Jobs氏本人の権威を主張しながら、Apple、ハイテク、シリコンバレーの何もかもに意地の悪い笑いを浴びせている。決め台詞は「あのさ、例の超すごい『iPod』は僕が発明したって知ってた?」
ブログの読者が増えれば、影響も大きくなる。Fake Steve Jobs氏はとうとう、Business 2.0誌に「ビジネスの世界で41番目に影響力のある人物」として紹介された。その正体をめぐってはさまざまなうわさが入り乱れ、いっこうに収拾がつかない。「正体が誰だろうと関係ない」という声もある。確かに、このブログは誰が書いているのかわからないほうがおもしろい。しかしメディアは(メディアとは本来そういうものだが)、このブログの筆者ではないかと思われる人物の名をたえず取り沙汰している。Fake Steve Jobs氏とは、ブログValleywagの筆者Nick Denton氏なのか?それともSteve Jobs氏本人?
2007年に入ってから、ついにFake Steve Jobs氏の正体を突き止めたと主張する記事がブログValleywagに掲載された。記事ではWired.comの編集局長であるLeander Kahney氏(私の元担当編集者だ)が名指しされたが、Kahney氏はすぐにそれを否定するコメントを返した。
CNET News.comも、Fake Steve Jobs(FSJ)氏が誰なのかは知らない。しかし、FSJが何を考えているかはわかる。「iPhone」発売をめぐるJobs氏の大がかりな宣伝活動がほぼ予定通りに開始されてから数日後の米国時間7月2日に、インスタントメッセージによるNews.comとの自由形式の対談にFSJが応じてくれた。このインタビューの唯一のルールは、FSJを名乗る人物の正体には触れないこと。しかし、本物のSteve Jobs氏がこの数年来CNETのインタビューに応じていないことを考えると、偽者とはいえJobs氏にインタビューできるのは実に久しぶりのことである。
そうだね、iPhoneが絶賛されるのは当然だけど、やっぱりうれしいよ。金曜日(2007年6月29日)に世界が変わった。僕は自分たちの仕事をとても誇りに思っている。一般の人々が、僕らがいつも思っている以上に賢いということもわかった。一般の人々は、実物を見たときにはじめて品質を理解する。並んで買う必要のない製品のために行列を作っている人を見るといい。僕らがiPhoneで到達しようとしているのがどういう人たちなのか、彼らの表情が多くを物語ってる。週末に、メキシコ人がiPhoneを買うために国境のフェンスを乗り越えてアメリカに不法入国しようとしてる写真を見たときには、マジで泣けたよ。
あぁ、その質問ね、意味はよくわかるよ。彼らが何もかもめちゃくちゃにしてしまった。最初のたった3日間で。○○な××××だよ、まったく。あの間抜けな連中に僕が電話をかけたときに何があったと思う?信じられないよ。いや、もしかしたら信じるかな。とにかく、僕はAT&Tの○○なCEOに電話をかけた。すると受付係が出て、「ご用件をおうかがいいたします」と言うんだ。「iPhoneのことで」と答えたら、「別の番号へおかけ直しください、無料電話番号を案内します。なんたらかんたら」ていう返事さ。「お嬢さん、僕はあの○○○○なSteve Jobsなんだけど」と言ったら、「申し訳ございませんが、たとえ○○○○なお客様でも私どものCEOと電話で直接お話しいただくことはできません」だとさ。ありえないよ、まったく。
△△な女と寝るBillと僕とは、君も知ってると思うけど、古いつきあいだ。ステージに座って彼を見たときに、ずいぶん年をとったなあと思った。僕も年をとった。今じゃ2人とも老人さ。ヘンだろ?つまり、聴衆の中には、Billや僕がスタートしたときにはまだ生まれてなかった若者たちがいた。まったく考えさせられたよ。
いいかい、Wozはいいヤツだ。行列に並ぶ必要なんてなかった。勘違いしてもらっては困る。僕らは、先週初めWozにiPhoneをプレゼントした。実は2台進呈した。それなのに、彼はAppleから何ももらっていないそぶりで店頭に現れた。注目を集めたかったんだ。わかるかい?いつもつらい目にあってるようなふりをするのが好きなのさ。率直に言って、Wozは何か仕事をするべきだと思う。会社か何か始めたらいいのに。何もせずぶらぶらして、食事に招かれては過去の栄光の日々を語って過ごすにはまだ若すぎる。それに、忘れないでほしいんだけど、WozはAppleをスタートさせるためにHewlett-Packardを辞めるのは嫌だった。そこのところ、君はわかってるかい?僕は彼の腕をねじりあげなくちゃならなかった。まったく間抜けな男さ。彼の父親は、Hewlett-Packardに残るべきだと彼に命令した。そして僕のことを「ろくでなし」と呼んだ。大馬鹿者だよ、Wozは。もしまだHewlett-Packardに勤めてたとしたら、まぁ、たぶん今頃はクビになってただろう。僕が救ってやらなければ、そうなってたさ。マウンテンビューあたりの平屋に住んで、くだらない車を運転して、ベイエリアの住宅価格について愚痴をこぼして、そんな暮らしになってたと思うよ。
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