DRMフリー? デジタル音楽を巡る模索

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 Appleの「iTunes Store」で、EMIのDRMフリーの楽曲提供がスタートした。Napster以来、PtoPやDRM(デジタル著作権管理)などのメディアダウンロードに関連した問題は欧州でも大きく取り扱われており、フランスではDRMの相互運用性を目指した法案DADVSI(情報社会における著作権及び著作隣接権に関する法律)の成立につながった(DADVSIそのものは当初の目的から外れたものになったといわれているが)。

 そんな折、南仏ベースのAirtistが、無料音楽ダウンロードサービスを開始するというニュースが入ってきた。キャッチは「無料、合法、倫理的」。同社はこれを“次世代の音楽サービス”とうたっている。

 Airtistは今回、広告モデルをとることで無料を実現した。ユーザーはダウンロード前に広告を視聴すれば、無料で楽曲を入手できるという。もちろん、有料を選択することもでき、その場合は広告なしで音楽をダウンロードできる。フランスでもPtoPを利用したファイル共有は人気で、Airtistでは、合法的に無料で音楽をダウンロードしたいというユーザーに解決策を提供する、としている。

 Airtistは2005年にデジタル音楽ストアAirtist.comをオープン、すでに有料のダウンロードサービスを提供している。スタート時より楽曲はすべてDRMフリーで提供、MP3プレイヤーとの互換性を特徴とした。

 今回の無料サービスはまだ始まっていないが、Airtistによるとカタログの25%程度が無料オプションを用意すると見ている。ここで「見ている」と書いたのは、わけがある。コミュニティを大きな特徴とするAirtistでは、アーティスト自身(またはレーベル)が自由に自分の音楽に価格をつけることができるためだ。つまり、無料オプションの有無はアーティスト自身が決定することになる。有料の場合、アーティストは設定料金の約70%が自分のものになる。一方、広告モデルを選択したアーティストは、広告主より1曲につき0.12ユーロの報酬を得ることができる。どちらが得か、一概にはいえない。

 このほかにも、英国のWe7.comも同じような広告ベースの無料サービスの提供に向け準備を進めているようだ。We7.comは、オンライン音楽配信プラットフォーム企業の英On Demand Distribution(OD2)を共同創業したミュージシャン、Peter Gabriel氏が立ち上げた企業(OD2はその後、米Loudeyeに買収され、Loudeyeはその後、Nokiaに買収された)。Gabriel氏の名前があることからも、こちらも話題をよびそうだ。DRMフリーという観点では、フランスの大手電気店Fnacも、今年1月より自社デジタル音楽ストアでDRMフリーの楽曲を提供している。

 先のAirtistは、売り上げの一部を国境なき医師団などの団体に寄付しているという。このような同社のビジネスモデルが長期的に成立するかどうかは市場次第だが、企業の新しい形を目指しているようだ。Airtistで提供されている音楽はフランスのインディーズが多く、無料になった際には21世紀の新しい“シャンソン”を聴いてみようかなと楽しみにしている。

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