事情を複雑にしているのは、SFやファンタジーのコミュニティーでは有名なキャラクター、たとえば「バフィー/恋する十字架」(原題:Buffy the Vampire Slayer)や「スタートレック」の世界のさまざまな登場人物などを題材にして、アマチュアがフィクションを作って楽しんできた長い経緯があることだ。こういった話には、パロディーもあればセックスが絡むものもある。関連するジャンルには、「ショタ」もしくは「ショウタ」があるが、これは一般的に10代の少年どうし、もしくは大人と少年の間の恋愛関係の描写を表す言葉だ(「ゲイの権利運動が子ども向けアニメの『テレタビーズ』とは何の関係もないように、「ファンダム」はポルノとは無関係だと、あるユーザーは皮肉っている)。
「omen-chan」と名乗るあるLiveJournalユーザーは、かつて小児性愛の被害にあったことがあると認めているが、それでも大量削除はやりすぎだと警告し、「小児性愛は憎むべきことだし、削除することは理解はできる。しかし、『ショタ』は2人の少年が一緒にいることを描く単なるフィクションであり、画像も伴わないものが大部分だ。ここに違法性はまったくない。14歳はいつでも一緒につるんでいるものだ。高校と呼ばれる場所で」と記している。
現在は削除された「pornish_pixies」というグループは、小説「ハリー・ポッター」シリーズのキャラクターに関して、ファンが書いたフィクションで性的に露骨な描写が多いものを取り上げていた。「フィクションとノンフィクションの違いはハリー・ポッターのファンダムのような場では判然としていなかった。それがLiveJournalの検閲チームが決めた境界線を越えてしまった」と、Mariaと名乗るpornish_pixiesのメンバーは電子メールで語った(関連グループの「erotic_elves」は削除を逃れた)。
LiveJournalの検閲スタッフはコミュニティーを閉鎖したことを、「違法行為に対して興味を示したり、勧誘したり、助長させると解釈できる素材は、LiveJournalを憂慮にたえない法的危機にとさらしている」として、自らの立場を弁護している。これに対して「femmequixotic」と名乗るユーザーは次のように返している。「私は自分の興味を記す欄に、居住する州では違法の『ゲイどうしの結婚』を記した。この記述によって、私の日記が警告なしに削除されることもありうるということだ。私がすべての人が同等な結婚の権利を持つべきだと考えているというだけのことで」
法律の専門家によると、LiveJournalがユーザーによって投稿されたフィクションやそれに関連するディスカッションに関して、責任を問われないのは明らかだという。ウェブベースのディスカッションフォーラムは提訴の対象から免れるという、1996年の連邦法があるからだ。「コンテンツが別の意味で合法であれば、LiveJournalが自分のサイトを取り締まる義務はないし、見出した合法コンテンツが何であっても削除する義務もない」とサンタクララ大学ロースクールで教鞭をとるEric Goldman氏は語った。
LiveJournalの利用規約では「好ましからざる」コンテンツを禁止しており、「理由のいかんにかかわらず」どのアカウントも削除される可能性があると記されている。しかし同社は「可能な限りユーザーに言論の自由を提供する」とも明記している。
「この件に関するわれわれの決定は、純粋に法的な問題だけに基づくものではなかった」とSix ApartのBerkowitz氏は反論する。「われわれが考えの基礎においたのは、どのようなコミュニティーをわれわれは築きたいと考えるのか、そのコミュニティーのなかで何が適切で、何が不適切だと判断するのかということだった。LiveJournalでは、ディスカッションやトピックその他、きわめて幅広くさまざまなことが行われている。今回は特別なケースで、われわれは(こういった日記をオンライン上に存在させる)理由はないと感じたのだ」とBerkowitz氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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