勝屋氏:なるほど。お二人の出会いを聞かせて下さい。
志津氏:2005年のNILS(New Industry Leaders Summit)です。まだ中村さんがゴルフダイジェスト・オンラインの執行役員をされていた時期ですね。グロービスの堀義人さんや、サイバーエージェントの常務・中山豪さんなど、実はベンチャー業界には住商出身の方が多いんですが、さまざまなところで中村さんのお話も聞いていたので、ぜひお会いしたいと思っていたんです。
勝屋氏:中村さんが起業して資金調達を考えた時に、志津さんのところに決めた理由は何だったのですか。
中村氏:まずは志津さんという“人”ですよね。この人となら一緒にやっていきたいなと思ったからです。それから住友商事が自分の古巣だったからということもありました。そこからお金を入れてもらうのは私としても嬉しかったです。それに世界中に事務所を持っているので、そこをいつでも使わせてくれると、口頭ですが約束してもらえたんですよ。こういうことは普通のVCさんではなかなかできないことですよね。住商が持っているような世界中のネットワークはこれからの日本の企業に必要な部分なので、これはすごく魅力的でした。
勝屋氏:志津さんはなぜ投資しようと思ったのですか。また、どのように社内でどう稟議を通したのでしょうか。
志津氏:創業したてのアライドアーキテクツによく遊びに行かせてもらっていて、創業から会社が形になっていく本当に最初の段階を僕も一緒にフィールできたという強い思い入れがありました。それから経営チームを高く評価していたというのは大きいです。中村さん自身が一度はベンチャーの創業メンバーとしてIPOを経験されているので、組織が大きくなるにつれて出てくる問題点や起こり得ることを分かっていますしね。
売上や利益など数字を残していくことも大事ですが、最初の仕組みづくりがうまくできるチームを作れていると感じました。ただ、社内で稟議を通すには、ビジネスモデルがどうなのか、現在の売り上げはどうかなどの点は相当突かれるので、そこは熱い思いを語ることで少々ムリに通したという部分は正直ありますね。でも、爆発的に伸びる市場を狙っていますし、何よりテクノロジーをベースにして、面白くて便利なサービスを展開していく戦略ですので、継続的に成長できると思って自信を持って通しました。
勝屋氏:投資されたのはいつですか。
志津氏:2006年3月です。会社の設立が2005年8月ですから、かなり早かったですね。
勝屋氏:中村さんに伺いますが、3月に投資が始まってから今日まで志津さんがいてくれて助かったなと思うのはどういう点ですか。
中村氏:良きアドバイザーですね。よく投資家に対してしっかり資料を揃えてプレゼンするというようなことが行われてますが、志津さんの場合は数字を格好良く見せようする必要はなく、すべて見せて相談します。経営者というのは決して万能ではなく、どうしてもどちらかに振れてしまうものなので、そのあたりをしっかり律してもらえるのがありがたいです。
勝屋氏:志津さんが中村さんの会社に投資して良かったなと思う点はどういうことですか。
志津氏:数字が増えたり、お客さんが増えたりというような成長を一緒にフィールできるというのは当然嬉しいです。でも私のことをパートナーとして見てくれて、さまざまな集まりや会合に顔を出させてもらえるのも嬉しいんですよね。投資のための行動というのを超えた活動を住友商事の中の人間としてできるのは非常にありがたくて、これから出てくるベンチャー企業さんとの関わりという意味でも、住友商事には良いフィードバックができていると思います。
1974年、東京都生まれ。慶応大学理工学部計測工学科(現・物理情報学科)卒業後、住友商事入社。リテール部門にて新規事業会社の設立、運営を担当。2000年6月、ゴルフダイジェスト・オンラインの設立に参画。売り上げの80%を担うeコマース事業の企画、統括をし、同社の上場に貢献。2004年7月、eコマース、マーケティング、システム担当執行役員に就任。2005年8月、4人の仲間とアライドアーキテクツを起業。
趣味:ゴルフ(太平洋クラブゴルフポータルを運営、食べ歩き、映画
志津さんの第一印象は「見るからに財務にいたという感じでしたが、付き合ってみると『靴にビール入れて飲んじゃうような』商社マンだと分かってきました」
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