MicrosoftのチーフソフトウェアアーキテクトであるRay Ozzie氏は極端な物の見方をしたり、突飛な物言いをしたりする人物ではない。しかし、頑固に1つのことを確信している。ソフトウェアとオンラインサービスの組み合わせこそが次に来るものだ。
そして、現在までのOzzie氏の主張は、この産業にソフトウェアからサービスへの破壊的シフトが起こっていることが証明されつつあるということだ。
デスクトップソフトウェアの巨人であるAdobe Systemsはどんどんオンラインサービスを導入している。Amazon.comやeBayのようなウェブ企業でさえ、ガジェットやアプレットなどのデスクトップサービスを作り上げ、ウェブサービスを補完している。
Microsoftをけなす人たちは、同社が店舗販売用の大量生産ソフトウェア事業に執着してきたため、広告ベースのウェブソフトウェアの開発が後手に回っていると言う。
しかし、Ozzie氏はソフトウェアからサービスへの移行も現在進行中であり、うまく行っているという。ラスベガスで開催されるMix '07カンファレンスで紹介されたSilverlight Streamingがその例で、Microsoftは費用をかけずにウェブページにビデオクリップを保存、ストリーミングする。
サービス事業を構築するためのもう1つの鍵となるピースは、プログラマのためのプラットフォームとツールを作ることだ。Mix '07では、Microsoftは.NET開発者がクロスプラットフォームブラウザプラグインであるSilverlight用のアプリケーションを構築できると発表した。
4月30日のMixでの基調講演の後の舞台裏で、CNET News.comはOzzie氏に同社で現在進行中のデスクトップソフトウェアの時代から新しい時代への変化について話を聞いた。
Microsoftは、実際まさしくWindowsの会社です。われわれはWindowsでは非常に強いプラットフォームを築いてきました。多くの人に使われていますし、今後も使われるでしょう。願わくばより多くの人に使って欲しいと思っています。Windows Mobileも変曲点に来ましたしね。
私は、オープン性を高めることをWindowsからの後退だと位置づけることは、必ずしも正確だとは思いません。これは単に、Windowsがより幅広い技術環境にあることを反映させているのだと考えています。現在、世に出ているデバイスの数や、PC以外に限らずブラウザを使っている人たちの数を考えてください。PCから離れた場所にいるかも知れないのです。こういう領域が最近焦点になっており、もしわれわれがそういうもの全てに対しても対応できるツールやプラットフォームを持っていないとしたら、それは逃げているのと同じです。われわれは、基本的に顧客がいるところに手を伸ばしているのです。
ウェブアプリケーションを制作する人々を対象にしていると言いながら、それらの顧客ができるだけ広い人たちに到達できるようにしないようでは、成功の見込みはありません。一般的に広告ベースのビジネスモデルでは、なるべく多くの人を集める必要があります。もちろん、われわれは自分たちのプラットフォーム上で最高のものを提示していると思っています。しかし、われわれは顧客のいるところにも行きたいのです。
はい。私は、さまざまなデバイス向けに作られたあらゆるウェブブラウザのためのものを開発する際、ユーザーがどんなプラットフォームにいるかは仮定できないということを強く意識しています。電話かも知れませんし、PlayStation Portable(PSP)かもしれない――PSPにウェブブラウザがあったかどうか、私は知らないのですが。プラットフォームが分からないということを、われわれは真剣に捉えています。われわれはまた、リッチアプリケーションのプラットフォームとしては、Windowsを最高のものにしたいと考えています。従って、私のMicrosoft開発チームへの指示は、「利用者をよく見て、利用者がどこにいるかによって、Silverlight開発に優先順位を付けなさい」というものになります。そして、その方向で投資しているところです。
これは宗教ではない、とそんな風に説明しておきましょう。ある程度までは、われわれは特定のLinuxのディストリビューションであろうと、他の特定のOSであろうと視野に入れていきます。そして、それが重要なものであれば、優先順位を高くします。
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