環境にやさしいリゾートホテル、カリフォルニアにオープン

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、福岡洋一2007年04月02日 22時16分

 Gaia Napa Valley Hotel & Spaには、プール、庭園、温泉、ケーブルテレビ、そして室内のコーヒーマシンなど、いわゆる一般的なアメニティはすべて揃っている。しかし創立者によれば、Gaiaは米国で最も環境への配慮が行き届いたホテルの1つでもあるという。

 地球環境を大切にしつつ、動植物に心癒される休日を過ごしたい、という消費者のニーズに応えられる心地よいリゾートホテルを各地に建設すること。それが同ホテルのオーナーであるWen-I Chang氏の夢だ。同氏はその夢を実現すべく、カリフォルニア州の高級ワイン産地に新しいホテルGaiaを建てた。同ホテルは米国時間3月30日にオープンし、31日までのオープニング料金は1泊99ドルだった。

 Gaia Napa Valleyは客室数133のホテルだが、Chang氏によると、同等規模のホテルと比べて消費電力は26%少なく、水の使用量は45%少ないという。カウンタートップ、フロアタイル、およびカーペットはリサイクル材料を使用し、シーラントも環境にやさしい成分のものを使っている。

 エコロジー志向の特徴の多くは、一般の利用者にとっていくぶん気づきにくいことかもしれないが、環境への配慮は同ホテルの重要なセールスポイントの1つにもなっているという。もし、通常のリゾートとエコロジー志向のリゾートという選択肢があれば、観光客はちょっと違った経験のできるほうを選ぶ可能性が高い。

 Gaiaはまず、少なくとも多少は新しい時代への意識に目覚めたゲストの集客に努力する。同リゾートの非公式のモットーは、マルコ・ポーロの日記の中にある言葉、「未知のものへの期待を抱け」(Expect the unexpected)だという。

 ホテル業界は少し前から、エコロジー的な方向に向かい始めている。一流ホテルの多くは何年も前から、水の使用量と洗剤の排出を少なくするために、シーツとタオルを毎日は交換しないことを了承してくれるよう利用者に依頼してきた。

 さらに最近では、環境に配慮していることをホテルが積極的に宣伝するようになった。たとえば、サンフランシスコのダウンタウンにある新しいOrchard Garden Hotelは、サンフランシスコで最も環境に配慮したホテルと謳っている。同ホテルでは、化学物質を含まない清掃用品を使用し、紙は再生紙、インクは大豆ベースのものを使っている。Orchardのウェブサイトには、「訪れるたびに、サンフランシスコで最もすばらしい宿泊設備とサービスを堪能しながら、環境の保護に貢献できます」とある。

 Gaiaに話を戻すと、同ホテルはまもなく米国グリーンビルディング協会(USGBC)から「エネルギーと環境に配慮したデザインにおけるリーダーシップ」(LEED)の認定を受ける見通しだ。LEEDは、全米の居住施設および商業施設の両方に適用されるベンチマークで、人体の健康および環境保護の5項目に関して評価される。評価ポイントは、環境を維持できる形での開発、水資源の節約、電力効率、材料の選択、屋内環境の質だ。

 「グリーン」が観光旅行における重要な標語になるかどうかはともかくとして、消費者はますます、より環境に配慮した製品、あるいはそう見える製品に引き寄せられるようになっている。有機製品は食品と関連業界で最も成長著しい分野の1つで、食品の消毒や浄水システムを販売する企業の売り上げを大幅に引き上げている。小売大手のWal-Mart Storesなどは、太陽光発電の利用や、経費を節約しつつ消費者へのアピールにもなる代替パッケージの使用も検討中だ。

 また、石膏を使わない新しいタイプのドライウォール(乾式壁工法)など、環境にやさしい建材を真剣に検討し始めた会社もある。

 Gaiaでも太陽光を大いに活用している。同ホテルでは、消費電力の約10%をソーラーパネルでまかない、天窓をホテル内の各所に設けて、室内の照明にも太陽光を存分に利用する。同時に、屋根には太陽熱を反射するコーティングを施し、ホテル内の空調の必要性を減らしている。

 白鳥のいる観賞用の池も、付近の気温を調節する役目を果たす。

 Chang氏は、カリフォルニア州北部のレディング近くに次のリゾートを建設中で、現在すでにおよそ50%が完成している。1本のニワトコの木を保存するため、駐車場を20フィート(約6m)縮小し、下水溝の通し方を変更した。「本当に不恰好な木なんだ」とChang氏は言いながらも、ホテル建設に際して、周囲に生えていたかなりの数の木を残そうと努めたことを強調した。

 3番目のホテルはカリフォルニア州中部のマーセドに建設する予定だ。これらが成功すれば、さらに建設するという。しかも、利益の半分は慈善事業に寄付する、とChang氏は付け加えた。

 Chang氏は、Hilton Hotelsをはじめとするホテルチェーンで働いた経歴をもち、現在は自身の会社Atman Hospitality Groupを通じてホテルを経営している。同氏はもちろん、エコロジーホテルで利益を上げることを期待しているが、こうしたホテルの建設は個人的な信念からくるものでもあった。

 Chang氏はおよそ8年前、カリフォルニア州サンタクルーズのあるレストランで食事をした。ところが、ウェイトレスがテーブルに水を持ってこない。尋ねてみると、水不足のため、客から依頼のあったときしか水を出していないという。それからまもなく、Chang氏は州南部のパームスプリングズに出かける機会があり、そこで水位が非常に下がっているという話を耳にした。

 「その朝、わたしは普段8分間シャワーを浴びるところを2分にした。これをきっかけにして、(初期条件のわずかな差が結果に大きな差をもたらす)バタフライ効果が生じた」と同氏は述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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