カリフォルニア州パームデザート発--エネルギー消費や温室効果ガスの発生を抑制するテクノロジは数多く存在している。あるエネルギー問題の専門家によれば、問題はそういったテクノロジを積極的に利用する意思が消費者に乏しいことだという。
国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory:NREL)の責任者Dan Arvisu氏は、当地で開催中の「Clean-Tech Investor Summit」におけるプレゼンテーションで「この国でエネルギー問題が注目を集めるのは、原油価格が高騰した時だけだ」と述べるとともに、「われわれは、エネルギー問題に対する取り組みに真剣さが足りないという問題を抱えている」と述べた。
ホワイトハウスに対してエネルギー政策をアドバイスする立場にあるArvisu氏はこの点を強調するために、現在および2030年時点での米国および世界のエネルギー消費を表したさまざまな円グラフをプレゼンテーションで提示した。
2004年時点において、原油が米国のエネルギー予算の40%を占めているのに対して、石炭の割合は26%となっている。そして天然ガスは21%、原子力は6%、再生可能エネルギーは7%だ。
2030年の予想データでは、それぞれの数字が2004年のものとほぼ同じになっている。原油は40%を占め、再生可能エネルギーはなんと6%に低下している。
世界を対象とした数字がこれより優れているというわけではない。再生可能エネルギーは2002年時点で14%を占めており、2030年にも変わらず14%になると予想されている。世界的な再生可能エネルギーの割合は米国のものよりも高くなっているものの、これは発展途上国における多くの人々が家畜の糞や薪で火力を得ているからである。このことによって、再生可能エネルギーの割合が不自然に高くなっている。
問題には2つの要素がある。1つは、エネルギー需要が増加し続けているということだ。世界は現在、1年間に約13.5テラワットのエネルギーを消費している。これには、原油や電力以外のエネルギー源から生み出されたものも含まれている。そしてこの数字は、2050年までに20テラワットにまで増加すると予想されている。
太陽光や風力、あるいはその他の代替エネルギーが生み出される一方で、新たな需要は増え続けているのである。
2つ目の要素として、代替エネルギー分野にベンチャーキャピタリストからの資金が大量に投入され、太陽エネルギーといったテクノロジに対する需要が高いにもかかわらず、そのインフラ整備にかかる費用は高価であるという点がある。Arvisu氏の見積もりによれば、1バレル当たりの原油価格が55ドルを下回れば、大半のバイオ燃料計画は採算があわなくなるという。また、原油価格がそれほど低下しない場合であっても、エタノールや太陽光、風力をエネルギー源とする社会を築くには大金が必要となるだろう。
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