日本IBM東京基礎研究所はこのたび、視覚障害者のマルチメディアコンテンツに対するアクセシビリティを高めるための、新しいツールを開発した。
画面読み上げ機能などのソフトウェアやブラウザは、ネットで配信される動画やアニメーションなどのマルチメディアコンテンツを適切に扱うことができず、視覚障害者は、これまでその恩恵を享受することができなかった。自動再生されるストリーミングビデオの音声が読み上げソフトの合成音声の聴き取りを邪魔したり、視覚障害者が利用困難なマウスで操作するマルチメディアコンテンツが多いことも理由にあげられる。
今回開発されたアクセシビリティツールは、これらの問題を解決し、視覚障害者に、晴眼者がマウスを使って操作するのと同等のマルチメディア操作機能を提供する。
ビデオ配信サイトなどのストリーミングビデオを操作するときには、キーボードにあらかじめ設定されたショートカットキーを使用する。また、ビデオ再生のスピードやボリュームの調整のほか、視覚障害者にとってゆっくり過ぎるストリーミングビデオの音声をスピードアップさせる機能も提供する。
さらに、読み上げソフトウェアやストリーミングビデオの、音レベルの個別調整を可能とし、ユーザーがそれぞれの情報を聴き分けられるようにした。
コンテンツ制作者側がビデオに音声ガイドを付ける場合には、ビデオ画面の内容をテキスト化したスクリプトをメタデータとして外付けすることが可能など、柔軟性を持っているという。また、音声ガイドの通常再生時はもちろん、スピードを調整したときでも自動的に映像と同期する。
IBMでは、このツールをオープンソース化することで利用拡大や採用を促進し、世界中で1億6100万人以上といわれる視覚障害者に、リッチコンテンツ世界への扉を開くとしている。
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