シナノケンシ(金子元昭社長)は、社会福祉法人日本点字図書館(田中徹二理事長)と社会福祉法人日本ライトハウス(木塚泰弘理事長)と共同で、視覚障害者がパソコンを使わず、録音図書などを読むことができる「ネットワーク読書端末」の実用化に向けた実証実験を10月末から開始すると発表した。
現在、従来のカセットテープに代わって、デジタル録音図書の国際標準「DAISY(デイジー)」に対応したCDが視覚障害者に普及し始めている。さらに、日本点字図書館と日本ライトハウスでは、パソコンをベースにした録音図書のネット配信サービス「びぶりおネット」の運用を04年から開始。しかし、パソコンを利用できる視覚障害者が少ないため、パソコンを使わずに利用できる端末が求められていた。
DAISY対応CD録音図書再生プレーヤーを販売するシナノケンシでは、今回、インターネット配信に対応するデジタル録音図書読書機を開発。図書コンテンツを蓄積した「びぶりおネット」のサーバーのほか、管理・保守・検索などを行う実証実験用サーバーをシナノケンシ内に仮設置し、約10名のモニターの協力を得て、約2か月の実証実験を行い、端末の基本機能や使い勝手、貸し出し待ち時間などの制約が解消される図書検索サービスの実用性などを確認する。
開発中の録音図書再生機は、利便性を高めた次世代型デイジー方式の小型再生プレーヤーで、パソコンを使わずに端末だけで利用できるのが特徴。技術的には視覚障害者が自分で365日24時間、図書館のサーバー内の録音図書からインターネット回線を経て自分で検索し、いつでも聴くことができる。無線LAN機能も搭載しており、設定すれば家庭内のどこでも使用可能。電話で図書館に希望する本を依頼し、インターネットで送ってもらうこともできる。
シナノケンシでは、次の通常国会で予定される著作権の法改正や実用化試験の結果も反映させ、07年後半以降に製品の実用化を予定している。
シナノケンシ=http://www.skcj.co.jp/
日本点字図書館=http://www.nittento.or.jp/
日本ライトハウス=http://www.lighthouse.or.jp/
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