活況の仮想化分野における有力企業のVMwareは、競合する自社製品の販売促進のために不当な行為を行っているとして、Microsoftを非難している。
EMC傘下のVMwareは、米国時間2月23日に公開した文書の中で、MicrosoftがWindowsのライセンス条項を利用し、ユーザーが仮想化技術を十分に活用することを阻んでいると指摘している。
「Microsoftは、仮想化ソフトウェアを使用できる人や使用法を限定することによって、ユーザーが仮想化ソフトウェアを選択できる柔軟性と自由を制限しようとしている」と、VMwareは述べている。
Microsoftは、VMwareの主張を認めていない。
Microsoftの仮想化戦略担当ゼネラルマネージャーを務めるMike Neil氏は、27日に発表した声明の中で、次のように述べている。「Microsoftとしては、VMwareの文書での主張に、当社の現行のライセンス条項や使用規定、サポート規定、技術協力への取り組みについて、いくつか不正確な点や誤解が含まれていると考えている。われわれは、現行のライセンス条項や使用規定において進歩的かつ公正であることに努め、提携企業や顧客に均等な機会を作ろうとしていると思う」
Neil氏は、MicrosoftとVMwareが互いの意見の相違を解消できるだろうとも述べている。
仮想化は、単一のコンピュータ上に仮想化マシンというコンパートメントを作り、複数のOSを同時に動作させる技術だ。仮想化による同時利用で、企業は自社のコンピュータをより効率的に使うことができる。しかし、究極の仮想化はもっと大きな可能性を秘めている。仮想化マシンを1つのサーバから他のサーバに移動することにより、仕事量の変化やハードウェアの機能停止に自動的に対処するデータセンターを作り出すこともできるのだ。
ソフトウェアの新たな層が、OSとハードウェアの強固なつながりを突き崩そうとしている。そんな世界へコンピュータ業界が移行していく中で、MicrosoftとVMwareとの論争は、困難だが必要とされる調整の過程を浮き彫りにするものだ。
技術的な課題もある。ソフトウェアは、ハードディスクやネットワークカードのようなハードウェアとしっかり結びつけておくことができない。また、一時的に負荷が大きくなったデュアルプロセッサのサーバから、8基のプロセッサを搭載したもっと強力なマシンへと、OSが移される可能性もある。
さらに、MicrosoftやVMwareなどの企業が技術的リーダーシップと顧客アカウント管理をめぐって競い合うという、事業面での課題もある。
仮想化技術をOSの一部として考えるなら簡単だが、VMWareは仮想化ソフトウェアを独立したコンポーネントとして販売し、強力なビジネスにしてきた。同社は現在、Microsoftなどの他社の製品を組み入れる、より高いレベルの管理機能の提供へとシフトしているところだ。
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