しかし、Microsoftは仮想化機能を次期バージョンのWindowsサーバー「Longhorn」(開発コード名)に組み込もうとしているため、同社にとって大きな問題となる可能性がある。すでにMicrosoftは、ブラウザの「Internet Explorer」と動画再生ソフトウェアの「Windows Media Player」をOSに組み込んだことで、独占禁止法違反を責められている。
独占禁止法は1つの市場を独占する企業がその力を利用して他の市場に勢力を拡大することを禁じるものであり、VMwareは、Microsoftを同法違反で訴えることは控えたものの、訴訟すれすれの状況ではあった。
「Microsoftは、市場を独占するOSと、その関連市場でトップシェアを持つ数多くのアプリケーションを抱えていることを利用して・・・自社の仮想化ソフトウェアをユーザーに使わせようとしている」とVMwareは主張する。また、WindowsとWindowsで運用するソフトウェアを「Microsoft製の仮想マシンでも他の仮想マシンでも等しく利用できるように制作し、ライセンスとサポートを提供し、配布できる」ようMicrosoftは保証する必要があると同社は述べている。
VmwareがMicrosoftを批判しているのは、次のような点だ。
特に、Microsoftが「Windows Server 2003 R2」のライセンスについて、90日に一度しか移動を許可していない点をVMwareは指摘している。この制限により、実行中の仮想マシンを異なるコンピュータに移動できる「VMware VMotion」テクノロジと、仮想マシンを移動することによってソフトウェアの作業を利用可能なハードウェアに割り当ててバランシングを行う、より高いレベルの「VMware Distributed Resource Scheduler」(DRS)機能が利用できなくなる。
Neil氏は、声明およびブログの中でMicrosoftの立場を擁護している。
「結局、混在した環境を利用しているユーザーは、すべてが統合されることを望んでいる」とNeil氏は言う。そのため、Microsoftが現在提供している「Microsoft Virtual Server 2005 R2」でインターフェースの詳細な仕様を公開しており、また次期Windowsサーバに搭載される仮想化技術「Viridian」(開発コード名)で詳細な仕様を事前に公開し始めたのだと同氏は説明する。
Macユーザーにとっては、「Windows Vista」の仮想化ポリシーが大きな障害となっている。IntelベースのMacでは、仮想化技術を利用してWindowsを実行するのが技術的に理にかなっており、仮想化ソフトウェアベンダーのParallelsのソフトウェアなら比較的簡単に仮想化を実現できるが、Microsoftの規定がこれをコストの高いものにしている。仮想化によってMac上でWindows Vistaを実行するには、アップグレード版ではなく通常版が必要になるのだ。その上、仮想化が認められるのは「Windows Vista Business」と「Windows Vista Ultimate」だけであり、ずっと低価格な「Windows Vista Home Basic」と「Windows Vista Home Premium」では許可されない。
しかしNeil氏は、ほとんどのユーザーは仮想マシンを利用する準備ができていないと主張する。
「仮想化はユーザーにとって新しいテクノロジであり、多くのユーザーに普及させるにはセキュリティ面がまだ十分とはいえない。現在われわれが提供しているセキュリティ機能とデータ保護機能では、悪意ある仮想レイヤによって妨害される可能性がある。われわれは、ハードウェア業界およびソフトウェア業界と協力して仮想化技術のセキュリティの向上に努めており、いずれは仮想化がクライアントシステムでもっと広く利用されるようにライセンスポリシーを変えていくつもりだ」とNeil氏は記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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