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「情報通信省」ははたして必要なのか - (page 2)

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あらゆる分野に関係する情報通信行政

 政府の通信政策は、1985年の通信制度改革による自由化から始まり、1999年のNTT再編など規制緩和を進め、「事前の規制」から「事後のチェック」という方向にシフトして、かなりオープンなスタンスを取るようになってきた。しかし、電波や放送分野については、まだ規制緩和が進んでいない。

 これは、通信と放送の分野でインフラの整備状況に大きな違いがあるためだ。通信政策も放送政策も以前はインフラの整備が大目標だったため、規制を重視してきた。しかし通信のほうはある程度それが完成したため、規制緩和にかじを切ったと言える。これに対し、放送分野ではまだ地上デジタルなどのインフラ整備の問題が残っており、ふたつの行政にはタイムラグがあるのが現状だ。

 2011年の地デジへの完全移行後には、放送分野でも競争促進など、現在の通信行政のような状況がやって来るはずだが、今はその端境期にあると思う。だから、通信政策と放送政策の足並みが揃って、本格的に両者が融合するという状況になるのは、あと数年待たなければならないだろう。その状況になったときには法体系を変える必要があり、今はそこを見据えた政策を議論すべきだ。

 今後、省庁改編の議論を進める上で難航しそうな問題点は、経済産業省のコンピュータ行政や文化庁の著作権行政と、情報通信行政との関係だ。これらはいずれも今後ずっと不可欠なもので、同じ組織で扱うべきか別々の組織にするのか、また、別々の組織にするなら連携に向けてどう状況を改善すべきかが問われるだろう。

 省庁改編は政府全体をどう設計し直すかという問題であり、情報通信省の創設が是か否かというひとつの論点ではなく、広い視野でやるべきだ。国民にとっては形よりもその中身のほうが重要だろう。

 情報通信の問題はいまやどの省庁にも関係する。それぞれの省庁に担当部署を置く場合と、縦割りの情報通信行政として進める場合の両方があるが、いずれにしても縦の組織と横のつながりの両方がきちんと機能するような設計をしなければならない。

 さらに、それらを政府のどこに位置づけるかを考える必要がある。どれだけ国にとって重要なのか、より官邸に近いところに置くべきかを検討する必要があり、これはいわば応用問題になるだろう。そのレベルまでいくと、最善の答えを出すのはなかなか難しく、フランスのように内閣のたびに組織を再編するぐらいのことをやるぐらいでもいいのかもしれない。外務省や財務省、法務省など、行政分野がはっきりしている省庁は動かす必要はないにしても、情報通信のように、技術の進歩で状況が変化する分野では、再編を繰り返したり、時限的な組織を設けたりする方法もありうる。いずれにしても情報通信行政は、竹中前大臣から引き継いだ菅総務大臣がどこまでやるかによって今後が大きく左右される。

 また、情報通信分野において、日本の産業の国際競争力を伸ばすための施策は分野ごとに異なるだろう。例えばコンテンツやデバイスの分野では、より強みを発揮できるように、知財の保護を進める必要がある。また、外国人の登用も含めて、人材育成をして産業界全体を底上げしなければならない。

 さらに言えば、日本の強みは、実は何よりも商品に対する厳しい目と積極性を持つ日本のユーザーにある。これを国際競争社会にアピールし、世界のさまざまな企業や技術、資金が入って来られるような市場にしていかなければならないと思う。(談)

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