Web 2.0ビジネスの旗手として注目されるドリコム。
2006年2月の上場直後で1000億円を超えた時価総額は、Web 2.0サービスの収益化が難しいという声と連動するかのように、2007年1月31日時点で330億円弱にまで下がっている。
ドリコムは今後、どのような成長モデルを描くのか。また、Web 2.0関連サービスは、ビジネスとしてどのような将来性が見込めるのか──。
ドリコム社長の内藤裕紀氏に聞いた。
メディア関連などBtoCにおけるWeb 2.0ビジネスは、ゲーム機「ニンテンドーDS」のように「革新性の高い商品を作れば売れるので儲かる」という次元の話ではないので、「面白いサービスだから儲かる」「自然と収益モデルに革新性が生じる」──というような大きな変化は期待できないと思っています。
ただ、収益面においてはメディアの視聴率とメディア制作コストとの関係性や連動性が大きく変化します。
例えば、「Gyao」と「YouTube」の違いはその典型で、Gyaoはコンテンツの配信先はネットですが、コンテンツ制作体制は既存のテレビにおける制作体制と大きな違いはありません。PVとコンテンツ制作費の関係性は強く、言い換えればPVと資本の連動性が高い。一方、YouTubeは参加ユーザーがコンテンツを増やしていく仕組みなので、PVと資本の連動性は低いと言える。
つまり、儲ける仕組みをきちんと加味すれば、コストを抑えて高収益率のビジネスを効率的に展開することができます。しかし、現状は儲けの仕組みを全く考えずに展開するWeb 2.0サービスが多いため、「Web 2.0は儲からない」という話になるわけです。
広告、EC、手数料・課金──の大きく3つに分けることができます。
手数料・課金モデルでは「Yahoo!オークション」のようなモデルが理想で、ECにおいてはアフィリエイト広告モデルが確立されています。
ただ、広告に関してはCGMに適した広告配信の仕組みが確立されていないので、コンテンツマッチ広告のような技術力をベースとしたものとは異なる手法があるのではないかと考えています。
それもありますが、単純に国内で収益を上げているところがないので適した手法ではないと考えています。また、CGMは中小メディアの集合群なので、一広告枠にPVが集中することを想定した広告商品を取り扱う広告代理店が扱いづらい。ですから、技術ベースとは違う切り口で広告主が直接出稿できる仕組みが必要なのではないかと考えています。
例えば、我々は2年前から広告のマーケットプレイスモデルに注目しています。米国ではAdBrightやRight Mediaなど同モデルを展開している企業があり、未公開ながら数百億円の時価総額に達していると聞いています。
全く同じものということではないですが、すでに開発は進めていて、3月をメドに広告のマーケットプレイスを始める予定です。
今後はこうした広告事業とさまざまな切り口でのメディア事業を強化していきます。
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