PC業界は必死に走り続けてはいるものの、前進は見られない。
IntelまたはAdvanced Micro Devices(AMD)製プロセッサ搭載のデスクトップPC、ノートPC、サーバの全世界の出荷台数は、2006年におよそ10%増加した。この数字は、調査会社Gartnerが米国時間1月17日に明らかにしたものだ。また同年の世界のPC総出荷台数は2億3940万台だった。
第3四半期に続き第4四半期もPCメーカー世界最大手の座についたHewlett-Packard(HP)は、ライバルのDellに対するリードをさらに広げた。またHPは米国内の出荷台数でもDellに接近した。調査会社IDCも17日にGartnerと同様の調査結果を発表している。
しかし、Gartnerの推計によると、2006年の世界のPC業界全体の売上総額は前年から横ばいの2011億ドルだった。また2007年も大きな変化はなさそうだ。Gartnerは、2007年にはPCの出荷台数こそ9.9%増加するものの、売り上げは2013億ドルまでしか増加しないと見ている。
Gartnerのアナリスト、Charles Smulders氏は、「2007年は厳しい年になる」と指摘する。
売り上げが伸びない主な要因は、PCの値下げだ。PCメーカー各社は、市場シェア獲得のため、ライバルに一歩でもリードしようと値下げ競争を続けてきた。その結果、PC価格の下落を招いた。Smulders氏によると、ソニーは米国市場でシェアを大きく伸ばしたが、それは値下げを行った直後に出た効果だったという。ソニーは、しばらく値下げをためらっていた。
顧客ベースも変化しつつある。米国内のPCの出荷台数は、年間では1.2%増とわずかに増加したものの、第4四半期だけでは3.2%減少している。その代わりに、新興市場向けの出荷台数が伸びた。ただ、新興市場の顧客は米国の消費者ほどの資金力はない。
Smulders氏は、Microsoft Windowsの最新版「Vista」にも言及し、「(2007年は)Vista関連でいくらか事態は好転するだろう」とした上で、さらに次のように続けた。「2007年末に向けて、買換え市場が始まる可能性はあるが、買い替えが本格化するのはむしろ2008年からだろう」
しかし、このニュースは全ての企業にとって凶報というわけではない。一部の企業は、薄利の環境にうまく適応する方法をすでに身に付けている。また中には市場全体よりもはるかに早い速度で成長した企業もある。Smulders氏によると、例えば業界第1位のHPは、PC販売事業で6四半期連続で黒字を記録したという。
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