[年始特集:2007]Web 3.0の時代は近い?--ウェブの過去と現在をたどる

文:Tony Patton(ZDNet UK) 翻訳校正:藤原聡美、佐藤卓、小林理子2007年01月04日 08時00分

 われわれはウェブにバージョンの数字をつけることで、これまでのウェブの発展を時間軸に沿って段階的に位置づけてきた。では現在、「Web 3.0」にどこまで近づいているのだろうか?

 最近の打ち合わせでのことだが、あるクライアントからアプリケーションをWeb 2.0に対応させてくれと求められた。このクライアントが、ちまたにあふれるWeb 2.0関連の記事を読みあさっていたのは間違いない。私はウェブと関連技術の進化を説明し、Web 2.0とは要するにコンセプトでしかないという事実を話して聞かせた。結局のところ、彼のアプリケーションには実際にWeb 2.0のコンセプトが採り入れられているのだ。だが、これをきっかけに私は、ウェブにバージョンの数字をつけることについて考えるようになった。

Web 1.0はどこへ行ったのだろう?

 黎明(れいめい)期のウェブは熱気に浮かされた状態で、企業も開発者もこの新しいメディアをどう活用しようかと頭をひねった。最初の狙いは、ユーザーに情報を届けることだった。適切なタイミングでの情報発信を管理するために、さまざまなコンテンツ管理システムが開発され使用された。また、個人サイトは当初、ユーザーの自己表現の手段として使われるのが一般的だった。だが、ウェブと関連技術が進歩するにつれて、状況は変化した。ユーザーは単にコンテンツの消費者だけではなく、作成者にもなった。一方、ウェブはデータごとのまとまりに分化し、サービスの細分化も進み、サイト間を行き来することが容易になった。

現在のWeb 2.0の特徴

 Web 2.0のムーブメントを陰で促進しているのは、ウェブをプラットフォームとして利用するという考え方だ。Web 2.0のコンセプトにはさまざまな面があるが、主な要素としては、ユーザーの参加、豊かなユーザー体験、データの重要性、Webサービスの活用によって柔軟に結びついたウェブなどが挙げられる。このコンセプトを見事に実現させている、企業やサイトの成功例を見てみよう。

  • Google:Web 2.0のコンセプトを活用してここまで成功を収めた企業はほかにない。Googleのビジネスモデルは、誰もがアクセスできる膨大な数のウェブサイトに関するデータに基づいている。Googleを利用すれば、ユーザーは情報を簡単に見つけられるだけでなく、さまざまな方法で好きなように使い勝手を変えることができる。さらに、Googleの提供する数多くのサービスがWebサービス経由で利用できる。
  • Amazon.com:Amazonは、書籍の情報源として抜きんでた地位にある。Amazonは、購入可能な膨大な数の書籍について、レビューを投稿したり、売れている順に書籍を並べ替えたりできる機能をユーザーに提供することで、書籍販売に革命をもたらした。またAmazonは、書籍情報のデータベースをほかのサイトも利用できるほどのレベルにまで発展させ、これを一般のWebサービスから利用できるようにしている。
  • eBay:ユーザー関与を進める例として、eBayほど適切なサイトはない。eBayは構造的に、ユーザー(買手と売手)の活動が盛んになればなるほど発展する。また、eBayのさまざまな機能は一般のWebサービスから利用できる。
  • Wikipedia:Wikipediaは、オンラインでのコラボレーションを示す究極の例だ。ユーザーは、Wikipedia上でデータを簡単に追加、編集することができる。Wikipediaのコンテンツを利用するユーザーの膨大な数自体が、適切な記事を確実に掲載する方向に導いてゆく。

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