ウェブやマルチメディア資料のアーカイブを運営している非営利団体Internet Archiveは米国時間12月20日、パブリックドメインの書籍をスキャンしてオンラインで自由にアクセスできるようにする活動を継続するため、慈善団体Alfred P. Sloan Foundationから100万ドルの資金提供を受けたことを明らかにした。
Internet Archiveの「Open-Access Text Archive」は、GoogleやMicrosoftが提供しているような書籍検索サービスのオープンソース版だ。Internet Archiveは、ウェブページのアーカイブである「WayBack Machine」で有名な団体だが、テキスト、オーディオ、ソフトウェア、画像、ビデオといったコンテンツのオンラインデジタル図書館でもある。
Alfred P. Sloan Foundationで一般人の科学技術に対する理解を調査、研究しているDoron Weber氏は、声明の中で、「Brewster Kahle氏と(同氏の運営する)Internet Archiveは、オープンにアクセスでき、特定の個人や企業に専有されていない、万人のためのデジタル図書館を作ろうという、刺激的かつ歴史的な試みの先駆者だ」と述べている。
Kahle氏は、インターネットの検索エンジンが誕生する以前、リモートサーバ上でデータベースのインデックス検索を行うのに利用されたテキストベースの検索システム「Wide Area Information Servers (WAIS)」を考案した人物の1人だ。1995年にWAISが数千万ドルでAOLに売却されると、Kahle氏はInternet Archiveを創設し、Open Content Alliance(OCA)と密接な関係を保ちながら活動している。OCAは、誰でも自由に、無料で利用できる「デジタル化された多言語のテキストとマルチメディアの恒久的アーカイブ」の提供に向けた一連の原則を案出した。
Alfred P. Sloan Foundationからの資金提供により、Internet ArchiveとOCAは、いくつかの主要な学術研究機関のコレクションをスキャンする対象に加えられるようになる。たとえば、メトロポリタン美術館の所蔵する数千点にのぼる作品の画像とすべての出版物、ボストン公共図書館にある米国第2代大統領John Adamsの3800点を超える個人蔵書、ゲッティー研究所、ジョンズ・ホプキンス大学、カリフォルニア大学バークレー校の蔵書などだ。
この発表は、サンフランシスコに本拠を置くInternet Archiveが、ちょうど10万冊目という記念すべき本をアーカイブで公開した直後に行われた。10万冊という数は、10年以内に数百万冊としている「Google Book Search」に比べれば大した規模ではないように聞こえるかもしれないが、OCAはつい最近、1カ月で約1万2000冊の書籍をスキャンしている。OCA独自の統計によると、5000万のウェブサイトから650億ページをアーカイブ化したともいう。
「Googleはメディアを使ったPRが非常にうまいので、Google以外の選択肢があるということを知らない人もいるだろう」と、Kahle氏は話す。「しかしわれわれには、コレクションをオープンにしてくれる名門の研究学術機関や、Alfred P. Sloan Foundationのように活動資金を提供してくれる団体がついている。これはつまり、OCAが実際に存続可能な組織であり、公共の利益に資するという証明だ。われわれには、図書館システムを私物化する必要はない」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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