アマゾンのユーティリティコンピューティング事業参入--CEOベゾス氏が狙う今後とは - (page 3)

文:Martin LaMonica(CNET News.com) 翻訳校正:DNAメディア2006年11月28日 20時31分

 しかしBezos氏は、ユーティリティコンピューティングという新興ビジネスにAmazonが参入したことは当然の流れだと語る。同社は過去11年間で大規模テクノロジ運用の手腕を磨いてきたし、そのシステム構築に数十億ドルを投じている。そのインフラストラクチャを有効利用しない理由がどこにある、というわけだ。

 「Amazon.comという1つの巨大なアプリケーションを運用することを考えれば、これまでに発表されたEC2、S3、Mechanical Turkなどの技術が、Amazon独自のビジネスを優れたコスト構造で運営するために必要な開発と投資だったということが理解できるだろう」(同氏)

 米国時間11月8日に開催されたWeb 2.0 Summitで、Bezos氏は「要するにAmazonは、テクノロジインフラストラクチャへの設備投資を、さまざまに形を変えて外部に提供しているのだ」と語った。

エコシステムの構築

 RedMonkのアナリストStephen O'Grady氏は、「Amazon Web Servicesが先行したことには少し驚いたが、よく考えれば当然かもしれない。結局、データセンターを運用する企業は、個人事業者や小規模な新設企業よりも良い条件でハードウェアを購入できるはずだからだ」とコメントした。

 「結局のところ、規模の経済が働いているということだ」とO'Grady氏は言う。「ソフトウェア・アズ・ア・サービス(Software as a Service:SaaS)に相当する原理が、ハードウェアにも生まれているだけだ」

 オープンソースとホスティング型アプリケーションサービスの普及で、ソフトウェア価格は大幅に下がってきている。しかし、ハードウェア価格にはこれほどの「破壊的な影響」は見られていない、と同氏は言う。

 「自分よりも格段に安く入手している所から購入した方が、ハードウェアの購入は安上がりになる。少し考えれば分かることだ」(O'Grady氏)

 O'Grady氏は、試しにAmazon Simple Storage Serviceを使ってみたが、1カ月の使用料として請求された額はわずか17セントだった。これでは、請求書を郵送する手間賃と切手代も出ない。

 しかし、AmazonのBezos氏は、今のところはこれで構わないと考えている。Bezos氏によれば、重要なのはサードパーティー開発企業の「エコシステム」を育むことだ。Salesforce.comからIBMまで、あらゆるベンダーに理解を促すことが絶対に必要だというのだ。

 大手コンピューティングプラットフォームベンダーは、健全なパートナーネットワークがあって初めて、自社のサービスを充実させ、売り上げを達成できる。例えば、開発者がAmazon Web Servicesを利用するたびに、Amazonがそのサービスの対価を請求したり、利用によりAmazonの小売サイトへのトラフィックが増えたり といったことが起きる。

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