マサチューセッツ州ケンブリッジ発--Web開発者の間でホスティング型コンピューティングの人気が高まってきていると、Amazon.comの最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏は語った。技術系の小規模企業が、Webアプリケーションを動かす際の「負荷」を軽減するのに利用できるからだという。
Bezos氏は米国時間9月27日、当地のマサチューセッツ工科大学(MIT)で開かれた「Technology Review's Emerging Technologies Conference at MIT」で講演を行い、サードパーティーの開発者向けにホスティング型コンピューティングサービスを提供しているAmazonの子会社Amazon Web Servicesについて語った。
同社の最新Webサービスはホスティング型ストレージとホスティング型ユーティリティコンピューティングの2つで、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して提供されている。
こうしたサービスは本業の小売業とは関連性がないようにみえるが、著名なEコマースサイトとなった同社にAmazon Web Servicesは必要不可欠なのだとBezos氏は語った。
「私はいつも『なぜこんなことをするのか? 本を売るのにどんな役に立つというのだ?』と尋ねられる」。Bezos氏は講演後の質疑応答でこう述べた。
「(Amazon Web Servicesは)本の売行きの役にはあまり立たない。逆なのだ。本を売るためにしていることが、これに非常に役だっているのだ」(Bezos氏)
一般社会に向けたサイトを「Webスケール」で運営するには、データセンターの運営に始まって、多くの専門技術者を集め費用をかけなければならないと、Bezos氏は指摘する。Amazonは設立以来、技術的なインフラ構築に20億ドル以上を投資してきたという。
外部の人々にAPIを通じてこうしたサービスを提供しても、Amazonにとっては大きなコスト増になるわけではないし、Amazon Web Servicesは、使用量ベースの課金制をとることでこれらのサービスから収益をあげるつもりだ。
「これを行う理由は、Webスケールの新しい種類の技術が開発者たちに力を与えると考えているからだ。しかも、われわれ自身にとっても利益のあがる事業になる」とBezos氏は語った。
Bezos氏は、Amazonのホスティング型コンピューティングとストレージサービスを利用することで、急速にコストを削減し必要なコンピューティングの質を変化させた小規模企業の例を挙げた。
たとえば写真共有サイトのSmugMugは、AmazonのSimple Storage Service(S3)を利用することで社員数を必要最小限に抑えることに成功している。
このアウトソース型コンピューティングモデルは先行投資を大幅に減額できるため、外部の開発者から好評だとBezos氏は語る。
「情けないことに、(Web起業者の)時間、エネルギー、資金の少なくとも70%は、バックエンドの負担の重いインフラに注がれているというのが実情なのだ。(アウトソース型コンピューティングモデルを導入することによって)独立の開発者からベンチャー企業まで、誰もが、多大な固定費となっていたものを変動費に移行させることができる」(Bezos氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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