Microsoftは、「Windows Vista」を大企業向けに11月末から提供開始することを発表した 。だが、企業側にその準備はできているのだろうか。
これは、この新しいOS の開発をようやく終え、販促活動に力を入れようとしているMicrosoftにとって、重大な問題だ。同社は、ボリュームライセンス契約を締結している大企業には11月 中にVistaの販売を開始する。小規模企業はCompUSAからダウンロード経由で入手するか、2007年 1月のコンシューマー向け発売まで待つことになる。
企業でIT製品の購入決定権を持つ担当者にオンラインショップCDWが実施した最新の調査では、 Vistaへの移行を予定している企業は全体の86%に上ることが分かった。ただし、そのうち2007年中に導入すると回答したのはわずか20%だった。また、調査対象の761人のうち、Vistaを稼働 するためには企業が現在所有しているPCの半数を交換またはアップグレードする必要があると答えたのは 、全体の51%に達した。
Directions on MicrosoftのアナリストRob Helm氏は、ほとんどの大企業がVistaの導入を本格的に検討し始めるのは2007年の1月か2月になってからで、さらに導入の準備に1年以上を費やすだろうと見ている。
「私たちは、運用環境への大規模な配備 が始まるのは2007年末から2008年にかけてだろうと話している」(Helm氏)
CDWの調査は、Helm氏の予想を裏付けているように見える。多くの企業がVistaに移行する意志を表明しているものの、移行の方法に関してたとえ大まかでもなんらかの計画を持っていると答えたのは回答者の24%に過ぎない。
Helm氏は、企業におけるVistaへの移行に時間がかかるのは、セキュリティ機能の強化がセールスポイントとして弱いということではなく、1ライセンスごとにアクティベーションするという「Windows XP」 にはなかった要件に対処しなければならないことが理由だとしている。
一方、MicrosoftはVistaの早期普及を予測している。Windows Client製品管理担当ゼネラルマネージャーのBrad Goldberg氏は、Windows XPが2001年10月にリリースされてからの12カ月と比較して、最初の1年間におけるVistaの導入ペースは2倍となるだろう、と9月に予測している。
調査企業IDCによると、Windows XPの利用率はリリース1年後で10%だった。しかし、IDCのアナリストAl Gillen氏は9月、Vistaについて「リリース後12カ月で20%の普及率を達成するのは、ほとんど不可能だ」と話している。
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