ウイルス用ワクチンソフト大手のトレンドマイクロの業績が順調に推移しており、株価上昇の期待感が高まってきた。業績好調の背景には、一般の個人ユーザー向け製品の好調があり、今後も成長が見込まれそうだ。
同社が10月31日に発表した2006年12月期における第3四半期(7〜9月)の連結売上高は、当初計画を上回って210億200万円(前年同期比16.8%増、従来計画比2.4%増)だった。販売先の地域別では、米国向けが前年同期比16.2%増収、日本国内向けも同18.8%増収と高い増収率を確保した。
また、9月22日から販売を開始した個人向けセキュリティ対策ソフトの最新版「ウイルスバスター2007 トレンド フレックス セキュリティ」に関連して、コンシューマー製品の売上計上方法の変更を行った。
従来、コンシューマー製品を新規に発売した場合、発売当該月に売上高の54%を計上し、残りの46%程度を残りの11カ月分に分散して計上していた。これを今回から発売当該月に8.3%程度を計上し、残りの91.7%程度を11カ月に分散して計上するように変更した。これに伴い、この第3四半期では従来の計上方法に比べて3億円程度のマイナスインパクトとなった。
営業利益は61億1100万円(同10.9%減、同1.9%増)と減益だったが、これは今期から新たに加わったストックオプション費用(12億1500万円)の計上に伴う特殊要因によるもの。これによるマイナス要因を除いて試算すると、この第3四半期の営業利益は前年同期比7.4%増益となる。
「ウイルスバスター2007」では、オンラインでセキュリティサービスを提供する「トレンド フレックス セキュリティ」を新たに開発。これにより、オンラインスキャンやソフトウェアキーボードなどの各種セキュリティ対策機能とチャットサポートなどのサポート機能が利用できる。
また、スパイウェア対策専用ソフト「スパイバスター2006」の機能を統合。不審ソフトウェア警戒システム、ルートキット検出・削除機能などを新たに追加したのが大きな特徴で、好評を博している。
会社側では2006年12月期の第4四半期の連結業績について売上高228億円(前年同期比10.9%増)、営業利益71億円(同10.6%減)と予想しているものの、特殊要因ストックオプション費用の12億1500万円を除くと、前年同期比4.7%増の営業増益となる。
同社の株価は2006年5月8日に年初来高値の4720円を付けて以来、IT・ネット銘柄全般の下降トレンドに連動して値を下げ、9月25日には年初来安値の3250円まで下落した。その後反発に転じ、10月26日に3830円まで回復。小幅調整を経て、現在(11月2日の終値は3700円)に到っている。
会社側の業績予想がかなり控え目なため、連結PERが32.5倍と割高に映っているものの、実際には上昇余地はまだ十分ありそうだ。また、直近の東証信用倍率は0.68倍と売り残超過の状態となっており、先々の買い戻し要因としても期待できそうだ。
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