MSのクレイグ・マンディ氏、「ゲイツ後」を語る - (page 2)

文:Charles Cooper(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年10月26日 08時00分

 「Office 2007」についても、おおむね同じことが言えます。これらの製品が完璧だとは言いませんが、Vistaを使っていただければ、防御性能が大幅に向上したことをはっきりと感じていただけると思います。

--講演の話に戻りますが、あなたはGNU General Public License(GPL)は「伝染性」のライセンスであり、知的財産権を脅かすものだともおっしゃいました。この講演で最も引用されたのは、この部分かもしれません。この考えは今も変わっていませんか。

 変わっていません。

--そうですか。

 これらの講演やその後の活発な対話を通して、GPLの利用に関する問題はある程度明確になりました。現代の企業は損害賠償のリスクにさらされています。これは以前にはなかった心配です。この講演はFree Software Foundation(FSF)にGPLを明確化すること、GPLコードを含む製品の開発者にとって、それがいかに過激な解釈かを理解することを迫りました。この点には以前よりもはるかに多くの努力が払われるようになったと思います。

 これは5年前の講演ですが、私の考えは今も基本的には変わっていません--この種のライセンスを考えもなく利用すると、自分が理解していない責任を負ったり、知的財産を失ったりする危険が大いにあります。

--あなたは6月15日からMicrosoftの技術分野のスポークスマンを務めています。「Mundieの時代」の幕開けを告げる変化はありますか。オペレーションにはあなたの色がもう出ているのでしょうか、それともまだですか。

 Billが活動の重心をMicrosoftからBill & Melinda Gates Foundationに移すことが明らかになった時点で、Billの代わりを見つけることは不可能ではないにせよ、非常に困難であることは分かっていました。

 そこでBillの仕事を2つに分け、短期的な技術分野の調整作業はRay Ozzieに、長期戦略と方針、研究に関する事柄は私に割り振ることを決めました。私の仕事は3〜10年先を考えることです。この期間のすべての事業方針と技術問題、およびこうした事柄を予測し、必要な準備を整えることは私の役目です。

--つまり、長期戦略に関わる事柄ということでしょうか。

 そうです。通常、研究部門のスタッフは当座の製品化の可能性は考えずに、5年以上先に焦点を当てた研究を行っています。

--今回の人事が発表されてから、今後の5〜10年間を考える機会があったことと思います。現在の最優先事項は何ですか。分かりやすく教えてください。

 この2〜3年の最優先事項とあまり変わりはありません。たとえば、私は新興経済国に積極的に進出することを経営陣に訴えてきました。中国では7年前、インドでは4年前、ロシアでは3年前から交渉のパイプ役を務めています。多くの国では私の音頭で製品ライン、組織構造、ビジネスモデルの変革が進んでいます。

--この件について、もう少し突っ込んだ質問をさせてください。独裁主義国家や反民主主義的な国家にハイテク製品を売ることの是非が問題になっています。Microsoftはこの問題にどう対処するべきだと思いますか。

 現在、当社のソフトウェアは200をはるかに超える国々で利用されています。オフィスは約170カ国にありますが、この中にはほぼあらゆる統治形態の国が含まれます。できる限り多くの人がハイテクを利用できるようにすることがわれわれの仕事です。民主化を目指していようといまいと、すべての人が国際社会に参加し、こうした技術を利用できるようにすることが、そうしないよりも望ましいと考えています。

--連邦議会はMicrosoftやGoogle、Yahooの中国戦略を批判しています。これは不当な批判だと思いますか。

 非常に難しい状況だと思います。おそらくはどの企業も、こうした国に進出することが最終的には米国の利益になると考えているからです。実際、この問題を米国に当てはめれば、米国に進出している外国企業もわれわれと同じように答えるほかないでしょう。企業は営業している土地の法律に従わなければなりません。これは絶対的なルールです。

 価値観の面でも、技術の利用やビジネスチャンスの面でも、これらの国に進出するのは良いことだという前提に立つなら、すべての多国籍企業と同じように、われわれも進出先の国の法的枠組みに従わなければなりません。

 連邦議会が指摘している問題の中には、外国だから目に留まりやすかったものもあると思います。しかし米国の状況を振り返れば、われわれも国内で活動している多国籍企業に同じ制約を課してきたことが分かるでしょう。連邦議会の指摘の中には、米国にあてはまるものも意外にあるのです。

--次は組織についてお伺いします。Bill Gates氏が経営から段階的に手を引くことを発表すると、「Microsoftの今後の課題は、特定の人物と関わり過ぎないようにすることだ」という意見も飛び出しました。この指摘は的を射ていると思いますか。

 Microsoftは偶像的な企業です。MicrosoftはBillが体現する偶像的なリーダーによって設立され、導かれてきました。しかし、われわれは非常に優秀なビジネスリーダーと技術リーダーも育ててきました。他の企業にいれば、もっと目立っていたような卓越した人材です。しかし、MicrosoftではBillというスターの影に隠れて、あまり注目を浴びてきませんでした。

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