「インターネットの配管屋」とも称されるネットワーク関連機器の最大手Cisco Systemsが、ビデオ市場への大胆な参入を始めている。同社経営陣は、この取り組みを自社の将来を決めるものだと考えている。
Cisco Systemsは、米国時間10月23日、「Cisco TelePresence Meeting」と呼ぶテレビ会議ソリューションを発表した。テレビ会議システムでは今までにないほどの高品質を実現するもので、会議の参加者が互いに地球の裏側にいたとしても、本当に同じ部屋に座っているかのように感じられるほどだという。発売開始は12月に予定されている。
Cisco Systemsといえば、サイバースペースでパケットを伝送する機器の開発で最も名をなしているが、同社にとって新しいテレビ会議用プラットフォーム事業の立上げは、単なる新製品発表にとどまらない意味を持つものだ。
同社経営陣は、高解像度の双方向映像配信技術の開発が、同社の将来にとって重要な転機になると考えている。Cisco Systemsは、通信インフラ機器のサプライヤーとして大きな成功を収めているものの、一般には知名度が高いとは言えず、映像およびコミュニケーション分野の強豪企業に変貌しようと努力している。
「今回の製品発表は、IPルータ事業への参入以来最も重要なものだ」と、Cisco Systemsの先端市場技術グループのゼネラルマネージャー、Marthin DeBeer氏は言う。「テレプレゼンス技術は、顧客のあらゆる場面で役に立つものだと考えている。今回の製品は、人々の仕事、生活、遊びのやり方を変えていくという、現在のわれわれの使命を最もよく表すものだ」とDeBeer氏は述べた。
現在、テレビ会議システムは大企業向けの設計になっているが、Cisco Systemsはこのシステムを一般消費者が利用できるセットトップボックスに組み込むという大胆な狙いを抱いている。これはつまり、企業上層部だけではなく、家にいるおばあちゃんたちも、鮮明な高解像度の映像によるリアルタイムのビデオチャットを通じて、親しい人々とつながりを持てるようになるということだ。Cisco Systemsの最高経営責任者(CEO)John Chambers氏は、テレビ会議システムの市場について、向こう5年間で年間10億ドルの売り上げを達成できると見込んでいることを明らかにした。
本当にそれほど大きな売り上げをもたらすのかはまだなんとも言えないが、アナリストの多くは懐疑的だ。
「CEOのChambers氏を始めとするCisco Systemsの人たちがこのテクノロジに夢中になっているのは知っている」と、調査会社Forrester Researchのアナリスト、Ellen Daley氏は言う。「だが、IPルータは人々の通信のやり方を変えてしまった。Cisco Systemsのテレプレゼンスのソリューションはすばらしいが、高価だ。一般の人々にテレビ会議を普及させるとまではいかないだろう」とDaley氏は指摘した。
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