Apple Computerは、ストックオプション付与に関する不正について内部調査を行った結果、元最高財務責任者が取締役を辞任することになったと発表した。
Appleは米国時間10月4日付けの声明で、同社の特別委員会が調査を実施した結果、1997年から2002年の間のストックオプション付与で不正行為があったことが判明したと述べた。この調査は約3カ月前に始まっていた。
この調査を受け、1996年から2004年までAppleのCFOを務めたFred Anderson氏が同社取締役を辞任したことを、同社は発表した。
また最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏も、付与日が不正操作されていたケースを何件か認識していたことも、声明から明らかになった。「しかし、同氏はこの操作による利益を享受しておらず、会計上の影響も認識していなかった」とAppleは説明する。
Jobs氏は声明で、「私の指揮下でこのような問題が発生したことをAppleの株主と従業員に謝罪したい。こういった問題は、Appleには全くそぐわないものだ。今後は、残りの問題も可能な限り早急に解決し、このようなことが二度と起きないよう適切な改善策を講じていく」と述べた。
Appleの広報担当Steve Dowling氏は、「Fredは、取締役を辞任することが現時点ではAppleにとって最善であると考えた。調査の詳細についてはすべて証券取引委員会(SEC)に情報を提供している」と述べた。
調査では、Appleの現経営陣による不正行為はなかったことが明らかになった。だがAppleはストックオプション付与に関する会計処理や記録、報告について、2人の元幹部の行動に「深刻な懸念」を感じた、と声明の中で述べる。Dowling氏は、懸念の具体的な内容については言及を避けた。
1997年から2002年にかけて実施された15回のストックオプション付与では、バックデートと呼ばれる手法を使って付与日を承認日の前になるように操作されたと思われる。調査結果を見てみると、不正操作されたのは2002年1月の付与が最後だったようだ、と同社は語っている。この期間中に付与されたストックオプションの6%に付与日の不正操作が見られると、Dowling氏は語っている。
同社と検察局は、調査結果を慎重に調べている。Appleによると、同社は今後、これまでの財務報告書を再申告し、過去のストックオプション付与に関する非現金費用を計上する可能性が高いという。このような費用の金額、課税や会計への影響、再申告に必要な期間についてはまだ明確になっていない。
ストックオプションのバックデートとは、株価が安かった過去の日付をオプションの付与日として、オプションが売られた際に不正な利益が手に入るようにする行為のこと。
バックデートは必ずしも違法というわけではないが、会社がその事実を株主や監督機関に開示しないと、違法と見なされる可能性がある。
最近でも、ストレージネットワーキングベンダーBrocade Communicationsの元最高幹部が、ストックオプションの付与に関する不正の疑いで民事および刑事訴訟を提起されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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