拡大するHP情報漏えい問題--メディア側の通話記録も「プリテキスティング」で入手

文:Jim Kerstetter(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年09月08日 17時16分

 Hewlett-Packard(HP)役員によるメディアへの情報漏えい問題について、同社から調査を依頼された会社が、CNET News.com記者の個人的な通話記録を入手していた、とカリフォルニア州検事総長事務局が明らかにした。

 HPが調査を依頼した企業は、CNET News.comのDawn Kawamoto記者の通話記録を入手するため、「プリテキスティング」という手法を用いて調査を実施した、と州検察局は述べている。プリテキスティングとは、第3者の通話記録などの個人情報を入手するために正当なアカウント保有者になりすます手法で、不法行為に当たる場合もある。

 Kawamoto記者は米国時間1月23日、HPの取締役会が長期戦略を策定するために非公式に開いた会合の概要を明らかにする記事を共同で執筆している。この記事が匿名の情報源の話を詳細に引用した内容であったため、HP会長のPatricia Dunn氏は、情報源を特定するために役員の調査を許可した。

 カリフォルニア州検事総長事務局は米国時間9月5日、CNET News.comの記者に対し、個人の通話記録が漏れている可能性があると注意を呼びかけた。検察局によると、HPの弁護士が6日夜、通話記録が漏れた可能性のある記者のリストの一部を検事総長事務局に提出したという。

 検事総長事務局は7日、Kawamoto記者に連絡を取り、通話記録の漏えいをAT&Tが実際に確認したことを伝えた。Kawamoto記者は、自宅の通話記録を公開することを一切許可しておらず、自宅の電話番号が自分ではなく夫の名義であることも指摘した。

 この情報漏えいは、検事総長事務局によって7日に確認された。検事総長事務局によると、HPの弁護士は、記録が漏えいした可能性のある記者に連絡を取るための許可を求めているという。

 HPの広報担当Mike Moeller氏は、「HPは、ジャーナリストの通話記録が秘密裏に漏えいしていた事実に驚いており、調査では検事総長事務局に全面的に協力している」と述べている。

 HPは9月6日、米証券取引委員会(SEC)への提出書類のなかで、同社役員だったTom Perkins氏の個人記録を入手するためにプリテキスティングが利用されたことを認めた。

 SECへの提出書類にはさらに、情報漏えい調査に関連し、長年取締役を務めてきたGeorge Keyworth氏を再任しないとの記載もあった。提出書類によると、Dunn氏は5月に開かれた取締役会で調査結果を公表してKeyworth氏が情報源だったことを明らかにし、Keyworth氏もその事実を認めたという。Keyworth氏は会議中に取締役辞任を促されたがこれを拒否し、これが不再任の判断につながった。

 この提出書類には、記者の個人記録に関する記載はなかった。

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