ライブラリー作りにこだわる録画ファンのためのレコーダー、というのが従来のRDのコンセプトだったが、本機は今までとは一味違うRDに仕上がっている。
本機の設計コンセプトは“再生ファンのためのRD”といえるだろう。ここでいう再生ファンとは、ホームシアターの大画面で、映画などを超高画質で楽しみたい人たちを差している。
再生ファンの興味といえば、今までは映画DVDなどのパッケージメディアだった。そうしたニーズに加えて、デジタル放送の普及によって、高画質なハイビジョン放送を録画してホームシアターで楽しみたい、という新しい録画へのニーズも生まれた。
本機は、そうした再生ファンのために設計されたレコーダーなのである。HDMIによるデジタル接続が主流であるにも関わらず、ハイビジョンの4倍オーバーサンプリングが可能な世界初の297MHz/14Bitの映像A/D変換回路などを採用し、アナログAV出力にも徹底的にこだわっているのは、三管式の高級プロジェクターを前提にした設計といえる。
三管式プロジェクターはCRT(アナログブラウン管)を使うので、その性能を活かすには高品位なアナログ信号が必須になるからだ。こうしたコンセプトのもとに、贅沢なボディ構造と高級な単体パーツを採用している。その物量のかけかたはレコーダーの域を遙かに超えていて、最高級プレイヤー並みといっていい。
なぜ、これほどまでの超高級機が実現できたのか? HD DVD初号機にふさわしいインパクトを狙った、という説明もできるが、回路設計の事情もあるだろう。
レコーダーの回路はモデルを経るごとに、低コスト化のため、数チップのLSIに整理統合される運命にある。統合されてしまうと、本機のように贅沢な単体パーツを使える余地がなくなってしまうのである。つまり、本機は初号機という回路設計に余裕のあるチャンスを生かして作られた高級機、といえるだろう。これは従来の高級機RD-Z1が、デジタル初号機として登場したことと似ている。回路が大規模であるにも関わらず、ノイズを抑える対策が周到なのはさすがに思える。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)