検索は有料コンテンツ販売への新たな扉--KDDI

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:秋葉けんた(マイカ)
2006年08月23日 08時00分

 Googleとのアライアンスにより、EZwebのトップメニューからGoogleの検索エンジンを利用した検索サービスを開始したKDDI。8月には、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「GREE」を提供しているグリーとの提携を発表するなど、インターネット企業とのアライアンスを強化している。

 同社は、変化の激しい携帯電話市場において、権利関係を守りながら「ユーザーにとって価値あるコンテンツ」を提供するためのシステムを作ってきた。PCインターネットでは「有料コンテンツは売れない」とされてきたが、小額課金システムが整い、著作権管理技術を通信キャリアが利用できる携帯電話市場ではそうではない。ここに可能性を見出し、注力してきたのがKDDIである。

 ボーダフォンを買収したソフトバンクがヤフーと組んでケータイインターネットの世界に新しい風を吹き込もうと画策するなか、インターネット企業とのアライアンスの強化は、今後のカギを握る。auの今後の戦略をコンテンツ・メディア事業本部長執行役員の高橋誠氏に聞いた。

--Googleとの提携に至った経緯を聞かせて下さい。

 数年前からソフトバンクやイー・モバイル、アイピーモバイルといった新規参入といった話が聞こえはじめ、ビジネスモデルを多様化しなければいけないと考えました。そこで、2005年秋ごろに、コンテンツの区分を整理したんです。

 まず、ダウンロードコンテンツについては、ユーザーに価値あるものを提供できると思っていますし、今後も大事にしていきたいと思っています。当社は元々、モバイルに合ったコンテンツを提供するための体制作りを進めてきました。ビジネスモデルも確立していますし、コンテンツへのニーズは増加し続けています。着うたや着うたフルといった音楽系コンテンツはもちろん、電子書籍なども右肩上がりの成長をしています。

 ただ、こういったダウンロード系のコンテンツとは別に、情報系のコンテンツもあります。情報系のコンテンツについては、高品質のサービスを無料で提供している企業も多く、今後は携帯電話の特性を生かした独自のサービスでない限り、有料で販売するのが難しくなると思っています。

 もともと、ソフトバンクが携帯電話市場に参入すると聞いた時点で、PCインターネットの世界と同じように情報を無料で提供するようにするだろうと思っていました。そこで、無料の情報系コンテンツと有料のダウンロード系のコンテンツを両輪でうまく回せる仕組みが必要だと考え、出てきたのがGoogleによる検索サービスなのです。

--なぜGoogleをパートナーに選んだのですか。

 実は、Googleとは2年ほど前から話をしていました。当時からGoogleは「日本の携帯電話市場に参画したい」という高いモチベーションがありました。また当社にとっても、Googleのブランド力は大変魅力でした。検索エンジンといえば、Yahoo!かGoogleだといわれています。Googleとの連携は、当社にとっても、またGoogleにとってもお互いの強みを生かすものになると思いました。

 Googleを使うことで、EZwebの公式サイトだけでなく、一般サイトやPCサイトなどのオープンなインターネットにも簡単にアクセスできます。また、当社が戦略的に提供してきたフルブラウザの「PCサイトビューアー」を使えば、PCサイトの情報をほとんどすべて閲覧することもできます。

 以上のことを考慮するとGoogleと連携したメリットは高く、他社に一歩先んじたと自負しています。

--サービスを開始してみて、ユーザーの反応はいかがですか。

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