一体、どちらが正しいのだろうか。今のところ、YouTubeは合法的であるという確かな根拠があると指摘する法律専門家たちは多い。つまり、YouTubeは、Craigslist、eBay、YahooのGeoCitiesといったオンラインサービスに適用されているのと同じ連邦法によって、顧客が犯す可能性のある著作権の侵害に伴う法的責任を免除されているというのだ。
しかし、知的財産保護専門の弁護士によると、YouTubeがDMCAに違反する危険を犯している分野もあると指摘する。例えば、DMCAは、ウェブサイトが著作権保護されたコンテンツを利用して利益を上げることを禁止している。にもかかわらず、YouTubeは最近、ビデオクリップとともに広告を掲載し始めた。
「こうした広告が掲載されたのは初めてだ」とJohn Stickevers氏は指摘する。同氏は、ボストンのBromberg & Sunstein法律事務所に所属する知的財産保護専門の弁護士だ。「DMCAには、著作権を侵害しているコンテンツから直接利益を上げることはできない、と明記されている。YouTubeが利益を上げていないと主張するのは極めて難しいのではないか」(Stickevers氏)
Levine氏は、「YouTubeは今まで、個々の動画に付けられた広告を売ったことは一度もない」として、この指摘を一蹴する。
しかし、顧客と良好な関係を維持できているかという点については、大きな疑問が残る。YouTubeなどの企業は、動画共有サイトにとって生命線ともいえる、質の高いホームメイドビデオの制作者たちを排除してしまう危険を犯している、とVoltz氏は言う。
Voltz氏は弁護士であり、ダイエットコークとメントスで噴水を作る有名なビデオクリップ「 The Diet Coke & Mentos Experiment」の共同制作者でもある。同氏は、このビデオクリップがYouTubeなどの動画共有サイトに無断で掲載されたことで、2万8千ドルの損害を被ったとして怒りを感じている。
この損失額は、Voltz氏と共同制作者のFritz Grobe氏が例のクリップを動画共有サイトRevverに投稿して得た額に匹敵する。 Revverでは、広告収入を動画作成者に分配している。
メントスと炭酸飲料を混ぜ合わたときに起こる爆発的な効果を利用して変わった噴水を作るこの映像は、5百万回もダウンロードされた。「この映像を気に入った人がGoogle VideoやYouTubeにコピーを投稿するということがなければ、トラフィックが吸い上げられることもなく、この数字は2倍にはなっただろう」とVoltz氏は主張している。YouTubeとGoogleは広告収入を制作者に分配していない。
Voltz氏の算出した額が正しいかどうかについては何とも言えない。しかし同氏は、まだ訴訟は起こしていないものの、YouTubeともめていることは確かだ。YouTubeは、Voltz 氏が同社の「取り下げ」手順に従って所定の手続きを踏んだため、同ビデオクリップをサイトから削除した。
しかし、それでも、メントスビデオの新しいコピーが次から次へと投稿されてしまう。ついに同ビデオクリップは、YouTubeの「最注目ビデオ」セクションに掲載されるまでになってしまった。YouTube側は、もしVoltz氏が再投稿されたものもすべて削除したいなら、それら1つ1つについて同じ手順を踏んでもらう必要がある、としている。Voltz氏によると、今後同じビデオを投稿されないようにしたいなら、自分の責任で監視するように、との通知も送られてきたという。
Voltz 氏は、Google にも、Google Video に掲載されている同氏のビデオクリップを取り下げるように書面で要求した。Googleは7月17日、要求に応じて、いくつかのメントスビデオクリップを削除したと報告した。しかし、21日の時点でも、まだ Google Videoにはこのビデオクリップが掲載されたままだ。
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