子供に悪影響を与えるテレビ番組をいかに排除するか--業界と保護者の攻防

文:Erica Ogg(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、小林理子2006年07月28日 22時37分
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 家庭で安心して見られるテレビ番組を目指して活動する保護者団体Parents Television Council(PTC)は、米国時間7月27日、放送業界が発表した「V-Chip」の活用を推奨する新たなキャンペーンをはげしく非難した。V-Chipは、テレビ受像機に組み込まれており、これによって露骨な性的表現や暴力表現のある番組の受信を親がブロックできるとされている。

 PTCは、V-Chipの設定の基準となるケーブルテレビ業界および衛星放送業界のレーティングシステムは「不正確」だと断じ、「Family Choice Act of 2006」と題された新しい法案への支持を表明した。この法案では、ケーブルテレビと衛星放送の会社に対して、米連邦通信委員会(FCC)の定めた放送倫理基準に従うか、あるいは、見たいチャンネルを選べるようにするか、「家庭向け」に限定した新しい番組構成を提供するように求めている。

 25日に発表された、放送業界が支援する3億ドルのV-Chipキャンペーンは、テレビ番組のレーティングシステムの認知度を高め、親たちに「子供が見る番組の監督者」になるよう呼びかけることを目的にしている。この一連のキャンペーンは、暴力や性的表現の多いテレビ番組を子供たちに見せないように、V-Chipテクノロジを活用するよう親に求めており、公共広告を実施する非営利団体、米広告協議会が提供し、全米ケーブル電気通信事業者連盟(NCTA)をはじめ、ケーブルテレビ、衛星放送、地上放送などの業界の主要団体が支援している。

 PTCのプレジデント、L. Brent Bozell氏は、新法案の発表記者会見で、業界のV-Chipキャンペーンを「大げさで恥知らずな宣伝」だと評し、「毎晩のように米国家庭のリビングルームに汚水のような番組を垂れ流している(エンターテインメント業界の)責任をごまかそうとするものだ」と非難した。

 「巧みな売り文句を全部はぎ取ってしまえば、V-Chipは、何よりもまず、レーティングシステムに頼らなければ機能しないというのが実態だ。レーティングシステムが信頼に足るものでないとしたら、V-Chipも役に立たない」と、Bozell氏はCNET News.comの取材に応えて語った。Bozell氏によれば、レーティングシステムが不正確だからこそ、特定の見たいチャンネルを親自身が決められるようにすることは十分理屈にかなったことなのだという。

 Family Choice Act of 2006法案は、Dan Lipinski下院議員(イリノイ州選出、民主党)とTom Osbome下院議員(ネブラスカ州選出、共和党)による共同提案で、成立すればこういったチャンネルの選択が可能になる。この法案では、ケーブルテレビ局や衛星放送局には、実施すべき3通りの選択肢が与えられることになる。第1は、地上テレビ局と同じくFCCの倫理基準にしたがうこと。第2は、ケーブルテレビや衛星放送の加入者が、特定のチャンネルは排除できるようにして、その分の料金は払い戻しを受けられるようにすること。第3は、基本的なサービスは幅広く設けつつ、午前6時から午後10時の時間帯は、ニュース番組とスポーツ中継以外については、TV-14(14歳以下の子供は親の同席が必要)やTV-MA(成人のみ)にレーティングされる番組は放送しないような家庭向け番組構成を提供することだ。

 V-Chipのキャンペーンを支援するNCTAの広報担当シニアバイスプレジデントRod Stoddard氏は、声明の中で、この法案は「番組提供の価格設定とパッケージングに対して不必要な政府の規制」を設けるもので、コストの増加を招き、番組の多様性を損なうおそれがあるため、NCTAは反対の立場に立つと表明した。

 さらにStoddard氏は、「家族がどんなテレビ番組を見るべきかを決定するのは、親が最も適しているとわれわれは考えている」と述べた。

 PTCのBozell氏は、この法案は、家庭に入ってくる前の段階で、親が番組の内容を管理できるようにするものだと語った。

 「テレビで流される下品な番組の責任は、親にあるのではない。テレビ業界にあるのだ。親たちにどうすべきかを説くために数億ドルも注ぎ込むくらいなら、こんな恥知らずな宣伝はすっぱりやめて、みずからが作り出した無秩序な状況を解消することに専念すべきだ」とBozell氏は主張した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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