米国時間7月20日、Child Protection and Safety Act(PDFファイル)と呼ばれる児童保護を目的とした法案が上院で可決された。同法案によると、例えば、ウェブサイト上で「Barbie」や「Furby」といった一見無害な言葉を使用しながら、実際には性的コンテンツを掲載していた場合、そのサイトの管理者は重罪となる。
同法案によると、未成年者を混乱させ、有害なウェブサイトを閲覧させる目的で、紛らわしい言葉や画像をウェブサイトに掲載した者には、20年以下の懲役と罰金が科される可能性がある。
上院における民主党のリーダーであるHarry Reid氏(ネバダ州選出)は、上院本会議場での議論の中で、「『児童保護』というこの法案の中心的な目的に集中できるよう、この問題と無関係な、論争中の問題を棚上げすることに全上院議員が賛同してくれたことに感謝する」と語った。上院は、発声投票で同法案を可決した。
全163ページにわたるこのChild Protection and Safety Actが法制化されれば、児童ポルノ、性犯罪者の登録、児童労働に関する連邦法の、過去10年で最も広範な改正が行われたことになる。同法案の支持者らは、米国の若者を保護するためには同法案が必要だと主張する。
同法案の前バージョンはすでに米下院で可決された。下院は来週にも修正版を可決すると見られる。Bush大統領は21日、「(Child Protection and Safety Actは)捜査当局者に、児童を食い物にしている者たちの追跡に必要な手段を提供するものだ」として、同法案を支持した。
しかし仮に同法案が法制化されたとしても、どのようなウェブマスターが重罪となるのかは不明瞭だ。例えば、BarbieとKenの人形が性行為をしている映像を掲載しているKontraband.comのようなサイトは、検察官や陪審員の条文の解釈次第では窮地に立たされる可能性がある。
同法案の重要な文言によると、ウェブマスターに懲役刑が科されるのは、そのウェブマスターに偶然の訪問者を「だます意図」がある場合に限られる。非営利団体のFirst Amendment Projectのスタッフ弁護士を務めるDavid Greene氏によると、未成年者をだまして下品な性的コンテンツを見せるウェブサイトに同法案を適用する場合は、合憲性審査をパスする可能性があるという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の法学部教授で合衆国憲法修正第1条に関する教科書の著者でもあるEugene Volokh氏によると、この「意図」という要件が大きな鍵を握っているという。同法案の合憲性を判断する上で、裁判官らは合憲と違憲のどちらとも判断しうる、とVolokh氏は指摘する。
「要は、ウェブマスターがどのような目的でウェブサイトを開設したかという問題なので、証明は難しくなり、また陪審員がどのような判断を下すかを予想することも難しくなる」(Volokh氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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