同時に、Music Genome Projectに関連する事業会社として音楽メタデータ検索のライセンシング事業を行う目的でSavage Beastが設立された。同社は2000年3月にベンチャーファンドから資金調達を行ったが、ちょうどドットコムバブル崩壊が始まった時期だったため、Westergren氏の言葉を借りれば「われわれも崩壊に巻き込まれて」しまった。事業を継続したものの、結局Savage Beastの資金は枯渇してしまった。Westergren氏によれば、その間の2年間というもの「確実な収入源は音楽活動だった」という。
同社は2004年、オンラインラジオへと事業方針を転換した。ブロードバンド環境が広く普及し、ストリーミング放送に発展の余地が見え始めたのだ。さらにデジタルミレニアム著作権法によって音楽のストリーミングに関するライセンスのビジネスルールが確立され、オンラインラジオサービスを事業展開する環境も整った。Savage Beastはシリコンバレーの複数のベンチャーキャピタリストから800万ドルの資金を調達し、所有する技術をAOLやBest Buyにライセンス供与してわずかばかりの成功を収めた。
その後Savage BeastはPandora Mediaと改称し、2005年10月に友人や家族に対象を限定してネットラジオサービスを開始したところ、たちまちのうちに5000名ものユーザーが集まった。Pandoraは同年11月、一般ユーザー向けの無料会員登録を開始し、新規登録リスナーの数は1日当たり2万5000人の割合で増加している。登録時には郵便番号の記載が必要だが、もっとも登録数の多い郵便番号は人気テレビドラマ『ビバリーヒルズ青春白書』(原題:Beverly Hills 90210)で知られる「90210」だ。
Westergren氏によれば、今やハリウッドで映画音楽を手がける業界人は映画に使う音楽の基準を決めるのにPandoraを使っているほか、コンサートの興行主はPandoraのお勧め検索機能を利用して前座を務めるミュージシャンを探しているという。
Pandora上のラジオ局に追加リクエストとして最も多く寄せられているものの1つがキューバ音楽の「Buena Vista Social Club」に関するものだが、同社がラテン音楽の収集を開始してからはまだ日が浅い。Westergren氏によると、米国外の楽曲も多くの種類を追加したいとは思っているそうだが、その場合にはライセンスがやっかいな問題として浮上する可能性がある。
熱心なファンはいるものの、今のところPandoraは利益をあげていない。同社は営業担当の社員を増やし、広告収入を確かなものにしようとしている。同社の主な収入源は広告だが、広告なしでサービスの提供が受けられる有料会員からの収入もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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