Chartered製AMDプロセッサの出荷が始まる

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、小林理子2006年07月13日 21時39分

 半導体ファウンドリであるChartered Semiconductor Manufacturingが、Advanced Micro Devices(AMD)との契約に基づいて製造したマイクロプロセッサの出荷が始まった。Charteredへの製造委託はIntelから市場シェアを奪いたいAMDの戦略の目玉の1つだ。

 Charteredが出荷を始めたチップは90ナノメートルプロセスで製造されている。これは現在AMDがドイツのドレスデンにある自社工場で製造しているチップと同じ製造プロセスだ。

 AMDで自動調整製造(APM)技術の担当ディレクターを務めるThomas Sonderman氏によると、AMDは第4四半期から自社工場で、より進んだ65ナノメートルプロセスによるチップの出荷を開始する。Charteredは2007年中ごろに65ナノメートルプロセスを用いたAthlonファミリのチップを出荷する。

 Charteredが製造するのは、ローエンドチップだけに制限されるわけではない。CharteredはAMDのすべてのプロセッサを製造することが可能だ。

 「Charteredは『Opteron』から『Turion』(ノートPC向け)まで、あらゆるプロセッサを製造することができる」とSonderman氏は述べている。両社の契約では最少生産数とともに最大生産数が定めてある

 AMDによると、Charteredとの契約とAMD自身の増資計画によって、2008年までには市場の30%を制するチップ製造が可能になるという。現在同社が抑えているのは約21%にとどまっている。

 PC向けマイクロプロセッサのメーカーはこれまで、チップ製造をサードパーティーのファウンドリに任そうと試みては失敗してきた。多くの場合、ファウンドリ側が求める金額が大きすぎた。IBMはCyrixのマイクロプロセッサ製造で同意したが、このとき、代金として製造量の50%がIBMのものとなった。AMDは1990年代、チップ製造をIBMへ委託することに同意したが、これは実行されなかった。

 また、技術的な複雑さも問題となる。AMDと台湾のファウンドリであるUMCとの間の契約はこれが原因で失敗に終わった。

 こうした問題を乗り越えるため、AMDは同社の製造技術をCharteredにライセンス供与したとSonderman氏は話している。これによって、Charteredは、複雑なプロジェクトに取り組めるだけの技術を得られ、AMD側にはコスト面の利点が生まれた。Sonderman氏は契約の詳細については触れなかったが、知的所有権に関しては「何でもただのものはない」と語った。

 CharteredはAMDから入手した製造のノウハウを利用して、他の顧客企業に対しタイプの異なるチップを製造することは可能だが、その際、x86アーキテクチャに基づいたチップは他社のために製造してはならないという大きな制約がある。x86アーキテクチャはAMDとIntelのプロセッサの根幹をなしている。

 「UMCとの契約を経て、ファウンドリにマイクロプロセッサの製造を委託するなら、自社のテクノロジのいくぶんかはライセンス供与しなければならないことがわかった」とSonderman氏は話している。「ファウンドリとの間では(価格)プレミアムは避けられないが、今回(AMDとCharteredの契約)は採算の合うものになっている」

 かつては製品の歩留まりの悪さで知られたAMDも、ここ数年は業界で最も効率的なチップメーカーの1つとしてアナリストたちに評価されるようになった。APMという手法によって、AMDは製造工程の早い段階で欠陥を素早く修復することが可能になり、工場の月間のウエハ生産量も増加した。製造の効率化によって営業利益は2005年の第2四半期から2006年の第1四半期にかけて4800万ドル上昇した。同じ期間、在庫は35%減少したとSonderman氏は続けた。

 APM技術とチップ設計の変更により、AMDはウエハから製造されるチップの種類の決定を、製造工程の最終段階まで遅らせることができるようになった。決定があとに延ばせるため、AMDは新しく突然に需要が変化しても、それに合わせてチップを製造することが可能になった。

 「チップの系統を製造の流れの中で変更することができる」とSonderman氏は説明する。

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