logo

FBI、通信傍受実施を容易にするための法案を準備中

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、福岡洋一2006年07月10日 21時56分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 CNET News.comが得た情報によると、米連邦捜査局(FBI)は、インターネットサービスプロバイダー(ISP)に警察の監視用ハブの構築を義務付け、ネットワーク機器ベンダーに盗聴用の「裏口」の設置を義務付ける、広い範囲に及ぶ法案を準備しているという。

 FBI捜査官のBarry Smith氏は米国時間7月7日、業界関係者との非公式会合で提案書を配布し、法案がMike DeWine上院議員(オハイオ州選出、共和党)によって提出されることを示唆したと、この会合について詳しい2人の情報提供者は述べている。

 今回の草案は、FBIによるネット監視に確固たる法的基盤を与えようとするものだ。米連邦通信委員会(FCC)が出したブロードバンド監視の指示は米国議会が認めた範囲を超えているとして、大学やテクノロジー企業が訴訟を起こしており、いまのところはそうした監視が自由に行える状況にはない。

 インターネット電話(VoIP)などの技術に目をつけた犯罪者やテロリストの活動を阻止するためには、1994年に制定された「捜査当局による通信傍受の援助法」(Communications Assistance for Law Enforcement Act:CALEA)の拡大が必要だと、FBIは主張している。

 「通信技術は近年、急激に複雑さや多様さを増している。連邦政府、州、地方の法執行機関による合法的な通信傍受能力は継続的に圧迫され、多くの場合、能力低下をきたしたり、傍受不能状態に陥ったりしている」と、草案に添付されている要約には記載されている。

 法案の見通しを複雑にしているのが、国家安全保障局(NSA)の監視プログラムをめぐる論議だ。憲法の規定を根拠として違法性を問う複数の訴訟が起きているが、ISPに対し米国民のオンライン活動記録の保存を義務付けようとする、また別の動きもある。

 7日の会合について慎重を期する必要から、匿名を希望するある情報提供者によると、FBIはCALEAの拡大を2007年の連邦議会における最重要課題と考えているという。

法案の中身

 CNET News.comが確認した27ページに及ぶCALEA修正案には、次のような内容が含まれている。

  • 「ルーティング」および「アドレシング」用ハードウェアのベンダーに対し、インターネット盗聴をサポートするために必要なアップグレードまたはその他の「修正」実施を義務付ける。現行法では電話交換機ベンダーには義務付けられているが、Cisco Systemsや2Wireなど、ルーターやネットワークアドレス変換用ハードウェアのベンダーには義務付けられていない。
  • FCCによって「公益性」があると判断された場合、盗聴の実施対象をインスタントメッセージを含む「商用」インターネットサービスに拡大することを認める。Microsoftの「Xbox 360」でのゲーム内チャットなどのサービスに適用される可能性もある。
  • 例えばVoIP電話だけを確認するといった目的で、ISPに顧客の通信のふるい分けを行わせることができる(実際の表現は、「法執行機関によって適用された処理やフィルタリング方法および手順に従う」ことをISPに義務付ける」)。つまり警察は、使用されたVoIPサービスの種類を把握する手間なく、AT&TやComcast、Verizonなどのブロードバンドプロバイダーに、単純に盗聴内容を問い合わせることが可能となる。
  • 米司法省が毎年「通信傍受実数の通知」を公表しなければならないと定めた現在の規定を削除する。現在はこの「通知」で、政府機関が法に基づいて許可されたすべての盗聴を「同時に実施し、使用する」ために必要な「最大能力」も公表しなければならない。

 自由な市場を追求する非営利の研究機関、米Cato Instituteの政策アナリストで、国土安全保障省の諮問委員会メンバーでもあるJim Harper氏は、今回の法案は「インターネットユーザーのプライバシーに悪影響を及ぼすだろう」と述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

-PR-企画特集