今や周知となった米Bush大統領が推進する国家安全保障局(NSA)を使った監視プログラムが今週、政治と司法の両面からの攻撃にさらされた。
まず政治面では、ある有力共和党上院議員が米国時間4月27日に、NSA監視プログラムが実際どのように実施されているのか、また、プログラムの実施にあたりアメリカ合衆国憲法が保障するプライバシー権が保護されているか否かをBush政権が明確にしない場合は、同プログラムを中止することも検討していると語った。
上院司法委員会委員長のArlen Specter上院議員(ペンシルベニア州選出、共和党)は議会で行われた記者会見で、26日にBush大統領と面会したものの、妥協点は見出せなかったという。
また司法の面では、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所のVaughn Walker判事が26日に、AT&Tが違法にNSAと結託し、連邦盗聴法に反する盗聴を行ったとして非営利組織の電子フロンティア財団(EFF)が提起した訴訟の審問日を発表した。審問は向こう2カ月間に2回実施される。1回目は5月17日で、2回目は6月21日に行われる。
この訴訟では、AT&Tの行為だけでなく(同社はCNET News.comからの質問を繰り返し拒絶した)、EFFが入手した極秘とされる文書を同団体が公開できるか否かも争点になっている。それらの文書には、いわゆる「底引網式監視」と呼ばれる監視方法について書かれた、退職した元AT&Tの電気通信技術者の宣誓陳述書も含まれている。
AT&TはWalker判事に対し、それらの文書を一般に公開しないよう求めると同時に、EFFにそれらの書簡の返還を命じるよう求めている。EFFの筆頭法律顧問を務めるLee Tien弁護士は27日、「われわれは成り行きを見守っている」と語った。
一方ワシントンDCでは、政治の状況が司法の状況以上に混迷を深めている。上院司法委員会は、無数の米国民の通話や電子メールが監視される可能性のあるNSA監視プログラムに関する公聴会を2006年に入ってから4度開催した。
しかしSpecter氏によると、司法委員会はその任務、すなわち、同プログラムの合憲性を判断するために必要な十分な情報を確保していないという。またBush政権はそのような問題に関する概要を情報委員会に報告する法的義務を負っているが、その情報委員会も十分な情報をつかんでいないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」