マイクロソフト、企業向けセキュリティ市場参入と待ち受ける課題

文:Joris Evers(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年07月04日 21時34分
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 Microsoftのセキュリティ市場に対する野心は個人ユーザーレベルにとどまらない。同社は、数十億ドル規模の企業向けセキュリティソフトウェア市場への進出をもくろんでいる。

 Microsoftは先頃、個人向けセキュリティサービス「Windows Live OneCare」の提供を開始したが、今度は企業に目を向けて、同社がセキュリティ問題の発生源ではなくソリューションなのだということをしきりにアピールしている。Microsoftは先週、「Forefront」という製品を発表した。これは、同社の最新またはリリース前の企業向け各種セキュリティ製品に付けられた統一ブランド名だ。

 同社はセキュリティ製品を企業向けに拡充し、新しい収入源を確保しようとしているが、今回の発表はそうした一連の動きの一部であるとアナリストは見ている。調査会社IDCの調べによると、セキュリティソフトウェアの売上は、2005年、120億ドルに達したという。企業向けセキュリティ市場では、2006年、Windowsクライアントセキュリティソフトウェア市場が36億ドル規模に成長するとYankee Groupでは予測している。

 「もちろん、Microsoftの目的は利益を上げることだ」とYankee GroupのアナリストAndrew Jaquith氏は言う。「Microsoftのセキュリティ製品プランは最初謎だらけだった。しかし、ここ数ヶ月、新製品を次々と鳴り物入りで発表しているところをみると、企業向けセキュリティ分野を広くカバーするベンダーとなることをもくろんでいるようだ」(Jaquith氏)

 Forefront計画の一部として、開発中の新しい「Microsoft Client Protection」は、PCおよびサーバ向けに「Forefront Client Security」として販売される予定だ。また、「Antigen for Exchange」と「Antigen for SharePoint」のアップデート版もForefrontという名前を冠することになる。さらには、「Antigen for Instant Messaging」、ファイアウォールおよびWebキャッシングソフトウェア「ISA Server」もForefront製品ラインに組み込まれる予定だ。

 「企業の既存のインフラに統合される包括的なセキュリティソリューションを提供していくつもりだ。とりわけ、インストール、管理、使い勝手を重視していく」とMicrosoftのセキュリティ、アクセス、およびソリューションに関する部門で製品管理マネージャーを務めるSteve Brown氏は語った。

 Microsoftはセキュリティ市場への参入動機について、「われわれとユーザーの双方にとって『大きなチャンス』であるととらえている」とBrown氏は言う。「第一の理由は、Microsoftのセキュリティ製品に対してユーザーからニーズがあるからだ」(Brown氏)。

 McAfee、Symantec、Trend Micro、Computer Associatesなどのセキュリティベンダーの長年の実績から、Windowsシステムのセキュリティ対策ソフトウェアには大きな市場があることは明らかだ。「Microsoftにとっては、セキュリティをアドオン製品として開発するほうが既存の製品に組み込むよりも簡単だ。既存の製品に組み込むと利益に還元するのが難しくなるという点もある」とあるアナリストは分析する。

 IDCのアナリストCharles Kolodgy氏も同意見だ。「アドオン製品として提供したほうがはるかに安全だ。セキュリティを製品に組み込むのは難しいし、利益にも直接結びつかない。アドオン製品なら売れなかったとしても、市場から撤退すれば済むので手離れがよい」(Kolodgy氏)。

 Microsoftは、近年、次々と企業買収を重ねて、徐々にセキュリティ技術の強化を図ってきた。買収された企業には、ウイルス対策専門企業のGeCAD、スパイウェア対策製品ベンダーのGiant Company Software、そしてAntigenシリーズの開発元Sybari Softwareなどがある。またMicrosoftのセキュリティ製品ラインには、電子メールセキュリティサービスのホスティングも含まれている。これはFrontBridge Technologiesの買収によって獲得した機能だ。

 最近では、セキュアなリモートアクセスとWebアプリケーションファイアウォールの専門企業Whale Communicationsも買収している。2005年10月、Microsoftは企業向けPCおよびサーバ向けにセキュリティソフトウェアを販売すると発表した。Forefront Client Securityという名称が付けられたこの新製品は、2006年第2四半期にリリースされる予定だ。

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